2005 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア・中東・中央アジアの天然資源をめぐる政治・経済関係の総合的研究
Project/Area Number |
17530214
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
塩原 俊彦 高知大学, 人文学部, 助教授 (60325397)
|
Keywords | ロシア / ウクライナ / カザフスタン / アゼルバイジャン / 石油 / 天然ガス / パイプライン |
Research Abstract |
基本的に、石油・天然ガスをめぐって、ロシアを中心に、その埋蔵量、生産量のほか、個別の石油・ガス会社の動向を調査・研究した。石油パイプラインとガスパイプラインについて、ロシアから欧州へのルート、ロシアからアジアへのルートなどをめぐる敷設・開発状況についても調査・研究した。とくに、カスピ海周辺の石油・天然ガスの動向を調査するため、アゼルバイジャンに出張した。ロシアと英国へも出向き、専門家との意見交換や資料収集を行った。こうした研究から以下のような実績をあげた。 1.石油については、石油価格高騰によるレント配分が問題になっている。課税強化の動きや移転価格利用による節税・脱税についても調査・研究した。石油パイプラインの敷設をめぐっては、カスピ海原油の輸出ルート確保問題はすでにほぼ決着しているが、その稼働率の確保が課題となっている。さらに、ロシアからの太平洋ルートについては、2段階に分けた敷設が決定された。ロシア、中国、日本などの関係国が今後、計画をどう具体化してゆくかに注目する必要がある。個別の石油会社の動きについても、ロシアで再国有化の動きがみられ、その動向を分析した。 2.天然ガスについては、2006年の初頭に、ロシアとウクライナとの間で問題化したように、政治問題化しやすい側面がある。ガス価格やガスパイプライン通行料について詳細に分析しながら、ロシアからのガス輸出をめぐる各国との関係について詳細に分析した。 3.ロシアの鉄鋼メーカーを分析するなかで、鉄鉱石や石炭をめぐるロシア、中央アジアなどでの現状についても分析した。 以上の分析を通じて、近年、急成長を続けている中国やインドが天然資源確保の動きを強めており、重要な変動要因となっている。このため、「資源大国ロシアとエネルギー安全保障」を『世界』(2005年12月号、岩波書店)に発表した。 さらに、アジア経済研究所において2名からなる査読を受け、平成18年度前半に拙著を刊行することが認められた。査読を受けた原稿を大幅に加筆・修正して、『ロシアの資源力』(仮題)という本をアジア経済研究所から平成18年7月にも上梓する予定である。
|
Research Products
(2 results)