2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国経済の急成長に伴う東アジア経済発展の新展開に関する研究
Project/Area Number |
17530215
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大坂 仁 Kyushu University, 大学経済学研究院, 准教授 (90315044)
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Keywords | アジア経済 / 所得分配 / クズネッツ曲線 / 環境問題 / CO_2排出 |
Research Abstract |
本年度は、中国をはじめとするアジア諸国の経済発展に関して産業構造変化に伴う所得分配と、環境問題の2つの側面から実証分析をおこなった。研究では、世界銀行や国連機関などの最新データを用いてクロス・カントリー分析や時系列分析を試み、特に計量的にクズネッツ曲線が支持されるかどうかについて以前の分析をべースに再推定をおこなった。まず、所得分配については2007年に更新された国際連合大学・開発経済学研究世界研究所のデータベースをもとに以前の実証分析で得られた知見を再検証したが、クズネッツ曲線を支持する頑健な回帰結果は得られなかった。なお、環境問題に関しては、特に大気汚染について二酸化炭素(CO_2)排出量(本研究では、1ドル(GDP)あたりの排出量)と所得レベルに関しては多くの先行研究と同様に逆U字曲線をほぼ支持する回帰結果が示されたものの、今後もアジア地域では総量的にCO_2排出量は中国をはじめとする新興工業国を中心に増大することが懸念され、この地域の持続的経済発展のためには地域経済協力も含めて環境問題に取り組む必要性が示唆されることになった。 なお、中国をはじめとするアジア諸国の経済成長のエンジンとも目される貿易に関しては、その開放度の増大と所得分配の不平等拡大との関連性が回帰分析では示されたが、一方ではCO_2排出量の改善にも寄与しうることが示されることになった。いわゆる経済グローバル化の進展に伴う中国やアジア諸国の経済発展と不平等の拡大、または環境汚染(本研究ではCO2)の削減などが今後も大きな課題として地域的に取り組む必要性があることが本年度の研究であらためて提示されることになった。
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Research Products
(3 results)