2007 Fiscal Year Annual Research Report
専門職型ホワイトカラーの自律性・雇用安定性と分業・協業構造に関する調査研究
Project/Area Number |
17530217
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
石井 まこと Oita University, 経済学部, 教授 (60280666)
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Keywords | 専門職型ホワイトカラー / 生産性向上 / 労働市場の流動化 / 総額人事費 / 市場志向 / コーポレード・ガバナンス / 派遣業 |
Research Abstract |
本年度は最終年度にあたり、これまでの事例調査を補完する継続調査を行った。これまでの調査で、ホワイトカラーについては組織志向と市場志向を併せ持つハイブリッド型人事管理へと進んでいる点を指摘した。今回、新たに民間企業3社(製造業2社、情報サービス業1社)と、人材情報企業1社、さらにコンピュータ関連の派遣業1社に対して調査を行い、専門性の雇用管理について、以下の知見を得た。第1に、採用に関して、戦略的な商品の開発・供給のために不足する人材に対して、多様な採用ルートを作り補強がみられる。不足分は人材情報企業によるサービス活用も行っている。第2に、総額人件費管理を意識した管理が徹底していると同時に、その範囲内で裁量性・専門性が強化されている。この裁量性・専門性を雇用継続インセンティブに組み込んでいる。第3に、人事管理の範囲を縮小し、競争力を高めている。企業合併により新会社を作り、製造部門を子会社として独立させ、労働条件を地域労働市場に平準化させる事が行われている。第4に、人材情報企業は労働市場の流動化を促進する一方、不安定化する人事管理を持つ企業から安定した企業への調整的機能の役割を持っている。最後に、派遣業においても安定的な仕事受注が出来る交渉力と技術力によって、専門職については、雇用・労働条件を安定させうる。本研究調査において、専門職型ホワイトカラーの雇用管理は市場志向による排出圧力を梃子に総額人件費の絞り込みと連動していることを指摘した。これに加えて、日本企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)視点で見ると、雇用継続インセンティブとして働く裁量性・専門性の評価は不確定要素が大きく、期待される職務遂行能力を具体的に示せず、マイナスに作用する恐れがある。さらに総額人件費管理と管理範囲の縮小化は、人材情報企業にニッチを提供している。人事管理は他企業を巻き込みながら再編されている。
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Research Products
(1 results)