2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本の製造業の中国進出が国内の産業構造に及ぼす影響に関する調査研究
Project/Area Number |
17530218
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Research Institution | OITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
阿部 誠 Oita University, 経済学部, 教授 (80159441)
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Keywords | 中国 / 日系企業 / 海外生産 / 電機産業 / 部品メーカー / 産業空洞化 / 地域産業 |
Research Abstract |
本研究では、日本企業の中国での現地生産が国内の産業構造や雇用に及ぼす影響について調査することが課題である。今年度は中国の武漢市に立地した日系の中小部品メーカーと現地生産を休止した電機企業で調査を行なった。日本国内では中小企業が集積している長野県坂城町で中小企業の聞き取りを行なった。 部品メーカーは、完成品メーカーの要請に応じて海外進出するケースが多い。今回調査した自動車部品メーカーも、取引き先の要請で日系企業に部品を納入するため中国に進出した。その生産は基本的に親企業の現地生産に依存している。しかし、輸出していた部品が現地生産されるので、国内生産は減少している。また、プレス機械と金型、そしてプレス部品を一貫生産している日系企業は、中国で困難な最先端技術を基礎にした現地生産の事例であり、中国市場にむけた現地生産である。同社の現地生産は、日本の国内生産との補完関係が形成されているという。 携帯電話機メーカーの場合、グローバル戦略の下で中国への集中化を進め、生産を拡大してきた。しかし、中国でのシェアが伸びず、価格下落も大きいなかで、全社的な事業再編の一環として、2006年末に中国での生産を休止した。多くの日系企業が、拡大する中国市場にむけて現地生産に乗り出しているが、厳しい市場環境の下では現地生産の見直しも迫られている。 他方、坂城町の中小企業には中国進出をめざす企業も少なくない。建設機械メーカーは新たな市場である中国市場の伸びを期待して現地生産に乗り出した事例である。電機の部品メーカーの場合は、取引先の中国進出を契機として中国に立地した。しかし、次第に新しい取引先を開拓しており、生産品は現地市場や海外にむけたものが増加している。これらの事例では、現地生産が事業拡大に結びついており、海外生産は、国内生産の移転・縮小ではなく、国内生産との補完関係にあるということができる。
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Research Products
(1 results)