2006 Fiscal Year Annual Research Report
システムダイナミックスによるマクロ経済システムモデリング
Project/Area Number |
17530228
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山口 薫 同志社大学, 大学院ビジネス研究科, 教授 (90108415)
|
Keywords | システムダイナミックス / マクロ経済モデル / マクロモデリング / 貨幣経済 / 実物経済 / 労働市場 / 会計システム |
Research Abstract |
この研究は、2003年にニューヨークのSD国際学会で発表した「会計システムダイナミックスの原理」に立脚しており、システムダイナミックスの方法論的にもとづきマクロ経済を新しい視点からモデリングしようとするユニークで独創的なものとなっています。このモデル研究が深化する過程で、この方法論は国連の国民経済計算(93SNA)に非常に近いということが判明し、会計原理とSDとの融合を目指す新しいマクロモデリングの地平を切り開くものであるとの確信を得ました。換言すれば、このSDマクロ経済モデルの強みは、新古典派とケインズ理論をも同時に取り込むことが出来、同時にこうした多様なマクロ経済理論と社会会計をも統一的に分析できるフレームワークを提供しているという点にあり、そうした意味でもシステムダイナミックスによるマクロ経済システムの構築という新しい分析視点をマクロ経済学にもたらしうると言っても過言ではないでしょう。 この研究に着手してからほぼ3年が経過します。2004年には、貨幣供給と信用創造のモデルを完成させ、2005年には、有効需要均衡と貨幣の伸縮性モデルの完成へと順調に研究を進め、これらの成果に立脚して2006年度は、貨幣経済と実物経済及び労働市場モデル(Integration of Real and Monetary Sectors with Labor Market)というタイトルで過去2年間のモデルを統合したモデルを完成させ、同年7月にオランダで開催された、第24回国際システムダイナミックス学会で研究報告をしてきました。 その後、このモデルを海外部門を含めたオープンマクロモデルへと拡張すべく、年度の後半で、国際収支と外国為替の決定ダイナミックスへと研究を拡張。Balance of Payments and Foreign Exchange Dynamics : SD Macroecononomic Modeling (4)というタイトルにまとめて、2007年度のSD学会(ボストン、米国)で発表すべく2007年3月に応募しました。以上が今年度の研究実績の概要です。
|