2005 Fiscal Year Annual Research Report
地方財政改革と「受益と負担の架橋」-ドイツと日本を事例として-
Project/Area Number |
17530249
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
八巻 節夫 東洋大学, 経済学部, 教授 (90095737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出井 信夫 新潟産業大学, 経済学部, 助教授 (30278048)
上村 敏之 東洋大学, 経済学部, 助教授 (00328642)
半谷 俊彦 和光大学, 経済学部, 助教授 (00329020)
塚本 正文 大東文化大学, 環境創造学部, 講師 (20407646)
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Keywords | 受益と負担の結合 / 財政等価原則 / PPP / 補完性原則 / 三位一体改革 / 財政責任の原則 / 連邦主義 / 特別会計 |
Research Abstract |
平成17年度には、八巻と半谷は、これまでの等価負担理論の研究が、近年いかに発展し、いかに再評価されてきているかを分析して理論の一層の精緻化を図った。同時に、現実の日本とドイツの地方財政に沿って、現実の政策領域ごとに公共財の分類を行い、実証分析の前提を整えると同時に実証分析の方法を定めた。他方、日本で「三位一体改革」のスローガンの下に進められ、ドイツでも「連邦主義」の名の下に改革論議が盛んな地方分権(財政調整システム改革)を「受益と負担の結合・バランス」の観点から評価を加え、問題点を抉り出した。八巻と塚本は、研究の一環として行ったドイツ訪問ヒアリング(平成17年9月3日から13日ノルトラインウェストファーレン州の郡会議、都市連合、ケルン市、連邦統計局)から得られた知見や資料に基づいて、ドイツの財政調整のあり方についての課題と、それらが日本の三位一体改革に対して与える示唆を明確にした。中でも、政策決定した政府レベルが、財源調達の責任を負うという「財政責任」を法律で明文化した点を、今後の地方分権改革の推進対する重要性を評価した。また、上村は受益と負担の一致の観点から、日本の道路整備特別会計を取り上げ、その地域間の乖離状況を明確にすることによって、その問題点を浮き彫りにした。出井は、地方自治体の財政の問題点を、自治体経営の観点から掘り下げ、今後の日本自治体分析方向を明確にした。 「受益と負担の架橋」といった場合に問題になるのが、1、中央と地方及び民間の役割の明確化、2、受益者負担の拡大はどこまで可能かを探ること、2、とくに公的保険料に中に含まれている「保険外給付要素」の租税調達への埋め戻しのための基準の決定である。これらについては、今後も研究を継続し、最終成果を得る所存である。
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Research Products
(13 results)