2006 Fiscal Year Annual Research Report
債券流通市場におけるマーケットメーカーと投資家行動の分析
Project/Area Number |
17530251
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
西村 佳子 京都産業大学, 経済学部, 助教授 (90319442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 宏昌 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (60280450)
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Keywords | 買入消却 / 繰上償還 |
Research Abstract |
本年度の研究は,(1)年度の前半までに債券価格・格付け・財務データという別様式の識別番号が振られたデータを統合し,分析が実施できる状況を整えること。(2)在庫モデルを前提としたシミュレーションのプログラムを作成し,シミュレーションの準備を行う,(3)債券市場における取引の現状(実務的な問題)について,必要に応じて実務家へのヒアリングを行う,(4)今年度までの成果の整理として,債券市場で観察される取引状況の特徴や理論との整合性などについて,ファクトファインディング部分だけでもまとめておくという目標で進めてきた。 現段階では,(1)については一部財務データのデータベース上での統合作業が終わっていないため,全サンプルを用いた計量分析結果はまだ出せていない。(4)について,一部サンプルを用いた計量分析から判明していることは,資金繰りにゆとりがある発行体が発行した債券は,クーポン・残存年数などの条件によっては買入消却がなされる可能性が高いということである。しかし,それを投資家や市場関係者がどのように評価しているかについては,債券の売買量が少ないために価格データについての評価が困難であり,まだ結論が出せる段階にない。さらに,資金繰りにゆとりがある発行体であっても一様に買入消却などの対応を取っているわけではないため,個々のケースについての財務データや事業(投資)計画などの状況を調べている段階にある。この作業が終わり次第,(3)発行体の行動や幹事証券会社などを含む市場関係者へのヒアリング(2)シミュレーションを行う予定である。いずれにしても,格付けデータの長期データの不備や価格データの入手困難など,研究開始までに予想していたよりも制約の多い状況にある。制約条件の下で一定の研究成果が得られるように集約作業を急ぎたい。
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