2007 Fiscal Year Annual Research Report
欧州における金融政策と財政政策との最適協調枠組みに関する理論および実証的研究
Project/Area Number |
17530253
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
高屋 定美 Kansai University, 商学部, 教授 (60236362)
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Keywords | ユーロ / インフレ格差 / 金融政策 / 安定成長協定 / 財政政策 / テイラールール / 欧州中央銀行 / 構造VARモデル |
Research Abstract |
平成19年度においては、本研究のとりまとめを行うことを主眼として研究を行ってきた。具体的には、EU統合と経済統合の経緯を俯瞰するために、ヨーロッパ化の観点から経済通貨同盟を検証した。これは「経済通貨同盟とヨーロッパ化」として、すでに論文として公刊した。この論文では、経済通貨同盟の経緯を検証するために、従来の経済統合論では、経済政策と経済制度のみに焦点を当ててきたが、本研究では政治学的手法も取り入れ、ヨーロッパ化の一つのプロセスとして経済通貨同盟を論じている。一方、近年のユーロ・ドルレートの動向も、EMUの経済政策と連動するとの観点から、ユーロレートの実証分析を行った。それは、DOLSによる実証手法でマネタリーモデルを用いた研究である。それによれば、金融政策の動向がユーロレートに影響を与えているとの示唆を得た。 また金融財政政策の協調的枠組みを考察するために、現行の枠組みに関する調査ならびに欧州委員会でのインタビューをまとめたうえで検討した。そこでは、現在のEcofinならびに委員会の役ptlについての改革を提言した論文を執筆している。さらに、東アジア通貨統合への示唆を、本研究から得られる可能性を研究するために、タイ王国に出張し、そこでタイ財務省と中央銀行であるタイ銀行でのインタビューと意見交換を行った。東アジアでは経済統合と通貨統合が盛んに議論されているが、そのためにEUでの経験、特に本研究で分析したマクロ経済政策の協調に関して、東アジアでの可能性についての意見交換を行い、今後の研究への示唆を得ることもできた。これらの研究成果は、2008年と2009年に本研究をもとにして、2冊出版する予定であり、その準備も本年度は行った。
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Research Products
(3 results)