2007 Fiscal Year Annual Research Report
西ヨーロッパの生産システムに関する比較地域史的研究
Project/Area Number |
17530266
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒澤 隆文 Kyoto University, 経済学研究科, 准教授 (30294507)
|
Keywords | スイス / 技術連関 / 経済空間 / 両大戦間期 / 生産システム / 産業集積 / 地域 / 大量生産体制 |
Research Abstract |
研究年度3年目にあたる19年度においては,引き続き関連文献の検索・収集・精査に努めつつ,1回の現地調査(2008年2月,スイス各地)と,成果の部分的公表をおこなった。当初予定していたフランス・イタリアでの現地調査は,文献調査の進捗状況との兼ね合いおよび調査先の事情のために,翌年度に延期した。 以上の調査・研究の結果,以下が明らかとなった。(1)両大戦間期スイスにおける産業構造高度化の動きが,第一次大戦期後,再軍備を禁じられたドイツからの産業逃避の動きと関連し,国際的な文脈の中にあること。(2)基軸産業たる電気化学,アルミニウム製錬,電機工業では,スイスおよびアルプス周辺地域(南ドイツ・北イタリア・フランス東部)の水力発電地帯固有の「技術連関」が顕著で,資本・人的系譜・技術教育体系・取引関係のネットワーク等の面で,国境を越えた広がりを有し,かつこれは,第二次戦後の生産システムを規定していた。(3)このネットワークは,スイス・ドイツの銀行と密接な繋がりを持つスイスの大規模製造業企業を中心に形成された。これら大企業は,遠隔地(英国・北米圏・他)にも拠点を有したが,独立系の地元中小企業とも密接な関係を持つ。アルプスの両側の地域的産業集積の基礎構造は戦後高度成長期まで継続する。以上の研究成果のうち,第二次大戦期のスイス・ドイツ国境間関係については経営史学会で報告を行い,また研究対象全期間を通じた対象地域企業の活動とその意義については,2008年刊行のSchroeter, Harm Gustav(Ed.)"The European Enterprise"所収の論文にて分析を行った。
|
Research Products
(3 results)