2006 Fiscal Year Annual Research Report
社会福祉施設におけるマネジメントの研究-経営組織論的分析-
Project/Area Number |
17530291
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Research Institution | YOKOHAMA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
柴田 悟一 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 教授 (90046079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 典子 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 準教授 (60347284)
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Keywords | 因子分析 / 首尾一貫性 / 決断力 / コミュニケーション / 現場 / 理念 / 意思決定 / 因子負荷量 |
Research Abstract |
社会福祉施設の施設長はマネジメントに関して現実にどのような行動をとっているのか。またどのような考えをもっているのか。こういった問題について調査・分析を試みた。なお、調査の単純集計、クロス集計についてはその内容を報告書にして既に刊行している。 因子分析の結果6つの因子が発見された。第1因子は「意思の強さと周りへの気配りを重視」する因子。第2は「人材育成と情報収集」の因子。第3は「現場との対話を重要視する」因子。第4は「施設の方向性を明示する」因子。第5は「過去の成功と伝統を重んじ、慎重に物事を進める」因子。第6は「職員の意見に耳を傾ける」因子である。 これらの因子はアンケート票の項目に回答したデータから抽出しているが、まず第1因子については「言動に首尾一貫性がある」、「決断力がある」、「職員とコミュニケーションを良くとる」「失敗した部下がやる気をなくすようなことをしない」、「施設内の人・物・金といった資源へ気配りをする」、「施設利用者とコミュニケーションを良くとる」といった項目の負荷量が大きいところからの因子である。第2因子については「自分自身の研修機会を見つけて参加しているか」、「職員に研修の機会を与えているか」、「他の施設の情報を集めているか」の項目の負荷量が大きい。第3は「現場をどの程度巡回しているか」また「現場の職員とどの程度顔をあわせるか」の項目が負荷量が大きい。第4因子は「施設の理念・使命を職員に話すか」と「理念・使命を実行する具体的計画を作っているか」の負荷量が大きい。第5番目の因子は「これまで成功してきた人である」、「伝統を重んじる」、「慎重に物事を進める」という項目が負荷量が大きい。最後の6番目の因子は「意思決定の前に職員(従業員)の意見を聴いたり相談する」という項目が負荷量が大きい。 以上の因子のうち第5番目の因子以外は全て経営組織論のリーダーシップ論・モティベーション論によって説明ができ、施設長の行動として容認できる。しかし、第5番目の因子は一般私企業ではむしろ消極的に考えられるものである。今後の課題であろう。また今後は施設長のもとで働くミドルクラスの管理者から見た施設長の行動分析を試みることにしている。
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