Research Abstract |
本研究は,2ヵ年にわたって推進するため,その初年度となる17年度においては,18年度で達成する研究成果の創出に向けて,主に研究基盤を確立するための活動を行った。それは,現在の地域産業や産業クラスターをめぐる具体的な展開などの現状把握や先進事例の調査などである。加えて,産業クラスターの中核的な存在となり,地域経済に対して大きな影響力を持つ地域の中核的な企業群(=地域中核企業)に焦点をあて,地域の有力企業に対する訪問調査などを推進した。調査にあたっては,最先端の情報技術を活用し,地域企業の実態を把握するためのビジュアルなデータの蓄積や高度なデータ解析,リアルタイムなデータのやり取りや現場での情報共有などを積極的に推進した。具体的な研究実績の概要は,以下の通りである。 1)現状把握 現在の地域産業,特に北海道の産業について,主に統計データや報告書,関連文献などにより明らかにした。加えて,構造改革特区構想,産業クラスター計画,知的クラスター創生事業など,国や地方自治体などを中心に進められている産業政策について,現在の状況を関連機関へのインタビューやセミナーへの出席などにより整理した。 2)主な研究成果のサーベイ 企業活動,特に企業の戦略行動と地域との関係に関する先行研究を,主に文献のサーベイを中心に推進した。特に,産業クラスターや産業集積,地域産業ネットワークなどに関する既存研究については,近年,わが国においても注目する研究成果が発表されているため,その成果を網羅するとともに,ポーター(Porter, M.E.)のクラスター理論をはじめとする諸外国の研究についても,積極的に情報収集を行った。 3)実態調査 関東・東海地域(夏期),北海道地域(通期)の地域産業を中心に、産業支援機関や地域中核企業に対してインタビュー形式で調査活動を推進した。この調査においては,従来のフィールド調査に無いデジタル技術を積極的に取り入れ,密度の濃い調査結果を導き出した。
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