2005 Fiscal Year Annual Research Report
ハイテク産業における研究開発エンジニアのキャリア志向性に関する研究
Project/Area Number |
17530302
|
Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
田路 則子 明星大学, 経済学部, 助教授 (00322587)
|
Keywords | キャリア志向性 / テクニカル・ラダー / マネジリアル・ラダー / 事業化マインド / MOT / 起業家精神 |
Research Abstract |
技術面の志向性をリサーチとエンジニアリングに二分することは、16年度までの科研費調査であきらかにできた。 今年度は、マネジメント面の志向性を次のようにふたつに分類した。 ビジネス志向:「適正な事業規模の確立と利益創出を成果として意識しながら、研究開発活動を事業化につなげていくことを通じて組織に貢献しようとする志向」 オーガナイズ志向:「知識創出や内外からの知識調達を促進して、知識を集積・統合し、製品や技術の具現化に結びつけるという一連の研究開発活動の体系化を通じて組織に貢献しようとする志向」 個人のキャリアの時間軸では、オーガナイズ志向が先行し、ミドル・エイジに近づくにつれ、ビジネス志向をもつようになる。管理職のポジションが課長、部長と上がっていくと、職務上、事業化に対する責任を負うようになるため、ビジネス志向が高まる仮説は、パイロット的定量調査で確認することができた。 技術面とマネジメント面の志向性の相関関係を調べた。エンジニアリング志向はオーガナイズ志向およびビジネス志向と正の相関がある。ところが、リサーチ志向は、オーガナイズ志向とは正の相関があるものの、ビジネス志向とは負の相関がある。リサーチと事業化は両立できないことを示しているのだろうか。そうであれば、リサーチ志向者は、事業化に貢献がむずかしいということになり、営利を目的とする私企業に属する場合はジレンマが生じることもあるだろう。その解釈のひとつは、リサーチに成功しても、事業化には時間がかかることが多く、両立が難しいと判断されていることである。もうひとつは、リサーチ志向の人材は事業化マインドが希薄で、ビジネス創造にあまり関心がないということである。このジレンマを解消するにはどうしたらよいのか。技術面でのパフォーマンスが高く、ビジネス志向をもつサンプルのライフストーリーを追うことにより、探索していくことを次年度の目標としたい。
|
Research Products
(1 results)