2006 Fiscal Year Annual Research Report
米国市場を中心とする日本の民生用電子機器メーカーのグローバル・マーケティング
Project/Area Number |
17530329
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
近藤 文男 京都橘大学, 文化政策学部, 教授 (40066676)
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Keywords | 松下電器産業 / 東芝 / シャープ / ソニー / グローバル・マーケティング / 液晶テレビ / ベストバイ / サーキットシティ |
Research Abstract |
本年度の研究は松下電器産業と東芝に加えて、シャープ、ソニーのアメリ市場を中心としたグローバル・マーケティング戦略の実態について調査、研究した。グローバル・マーケティングに先行する輸出マーケティングやマルチナショナル・マーケティングは、「雁行型発展」と呼ばれ、国際マーケティングの発展が先進国から発展途上国へと順次段階的な発展形態をとるのに対して、グローバル・マーケティングは、「世界同時発売」をすることによって競合他社に先行し、他社が追随し商品がコモデティ化し価格が下落する前に、収益を上げる戦略を主たる内容とし、競争優位を実現する。 松下電器産業の世界同時発売は、新製品を世界同時に発売し、短期間で高いシェアを獲得し、一気に売り切るという戦略である。2005年5月に、プラズマテレビ「ビエラ」で日米欧の3極同時発売を実施し大きな成果をあげた。 アメリカ市場への供給は、メキシコにあるティワナ工場から供給されている。本年度はティワナ工場の見学とそこでのインタビューを行った。ティワナ工場は3つのラインでは液晶テレビの組み立てを行っている。 東芝アメリカ・コンシューマ・プロダクツ(TACP)は、液晶テレビを中心に世界同時立ち上げの体制をとっている。 液晶テレビは26インチ以上のものは、アメリカで製造し、26インチ以内のものはアジアで部品を買い、メキシコで組み立てアメリカに持ち込んでいる。 シャープは液晶テレビをコアにラインアップを強めることによって、フルアイテムを整えたが、シャープは他社に比較して流通チャネルが弱いので、家電量販店ベストバイやサーキットシティなど全国チェーン店との取引を強めている。また、海外でのブランド知名度がソニーやパナソニック、サムソンと比較して低いので、広告宣伝に力を入れている。AV専門誌、娯楽誌などに集中した戦略がとられている。 ソニーの中核事業であるテレビ事業は、液晶テレビの需要の移行によりブラウン管テレビの販売台数の減少の一方で、液晶テレビでの参入で遅れをとった。そのため、韓国のサムスンと液晶部品で共同生産することによってグローバル競争優位を実現しようとしている。ソニーのアメリカでの流通チャネル戦略では強力なブランド力を背景に全方位型販路の構築を目指している。ベストバイ、サーキットシティ、ウォルマート、シアーズ・ローバックなどの主力全国量販店ルートで全売り上げの約60%までになっている。バイング・グループを核とした地域量販店やカスタムインストレーション市場向けのHTSAグループなど、ハイエンド市場でのポジショニング強化に力を入れている。特に、ソニーの直営店「ソニー・スタイル」の出店ニューヨークやカルフォルニアに都市型の直営店を展開しており、これは今後ネット販売とのコンビネーションで販促活動を強化しようとしている。
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