Research Abstract |
19年度前半に,平成17年度の実験・調査研究の結果の論文化を行った。まず,実際に放映されているテレビ広告を用いて調査を行った(牧野,2008,印刷中)。その結果,受け手の肯定的気分がテレビ広告に対する好意を向上させ,その結果,商品への関心,購入意図が高まることが明らかとなった。次に,これまでの広告研究の理論を基に,広告の効率性の測定と階層グラフによる評価を行った(田中,2008a)。この測定法により,効率的な広告の基準を提案することが可能となった。さらに,これまでの結果に平成18年度に得られたデータの分析結果を加え,効果的な広告のコンテンツ情報の分析を行った。日本において特に,広告出演タレントの影響力,視聴者の気分の影響力が大きいこと明らかとなった。このことは今後の広告研究,広告製作に大きく貢献する成果である。 19年度後半において,平成17・18年度に得られた結果の総括を行った。まず,各研究の結果から広告効果に及ぼすコンテンツ情報の影響について総合考察を行った。その結果,視聴者は広告メッセージの中の説明的内容にはあまり注意を払っておらず,映像から商品のイメージを形成している。また広告により肯定的な気分を引き起こされると,メッセージはヒューリステックな処理を受け,視聴者は認知的負荷の低い状態となる。さらに,これらの結果を基に,広告メッセージの影響過程のモデルの構築を行った。確率フロンティアモデルを用いて最適広告の計画を試みた(田中,2008b)。この試みはこれからの広告製作に具体的な助言を行うものであり,有意義な計画である。
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