2007 Fiscal Year Annual Research Report
公共部門の財政規律のインフラとしての発生基準会計の意義
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17530334
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
醍醐 聡 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 教授 (20080244)
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Keywords | 財政規律 / 発生基準 / 地方財政健全化法 / 特別会計 / 連結実質収支 / 損失補償 |
Research Abstract |
本年度は公共部門の財政規律を促すインフラとして公会計を活用する趣旨で近年、改革あるいは法制度化が図られた次の2つの分野を対象に研究を進めた。(1)地方財政健全化法における財務指標の利用のあり方、(2)特別会計改革の動きと特別会計における積立金の活用のあり方をめぐる議論。 このうち、(1)については、(1)近年、急増している積立金・基金の取り崩しを収入に含めた実質収支を地方財政健全化法の発動要件の一つとしている点、(2)一般会計の債務負担行為や第三セクターに対する債務保証、損失補償等を将来負担比率に的確に反映していない点、(3)自治体病院等、当該団体の自助努力だけでは収支の均衡を期しがたい特別会計や外郭団体の赤字も一律に連結実質収支の赤字に含め、財政健全化指標に反映させる地方財政健全化法の問題点を指摘した。 (2)については、旧電源開発対策特別会計、外国為替資金特別会計を事例に取り上げ、国の多くの特別会計で連年、多額の不用額、繰越金が発生し、積立金が累増している実態を調査するとともに、その原因が見合いの支出予定額が定かでないまま、不用額=剰余金が繰り越されている点にあることを指摘した。その上で、こうした過剰な剰余金を積立金として任意に繰り越すのではなく、負債性引当金の要件に照らし、それを満たすものに限定して特定の負債性引当金として繰り越すよう会計制度を改めることを提唱した。
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