2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530337
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 秀樹 京都大学, 経済学研究科, 教授 (80173392)
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Keywords | 会計の国際的調和化 / 財務会計の概念フレームワーク / 公益法人会計基準 / 原価主義会計 / 減損会計 / プラン・コンタブル |
Research Abstract |
本年度は,本研究の目的のうち,わが国における概念フレームワークを素材とした会計制度の変化のプロセスの検討(研究(1)),およびフランスの国家会計審議会(CNC)によって進められている同国における会計基準の国際的調和化の制度的特徴の検討(研究(2))を行った。わが国の概念フレームワークで提示された「内的な整合性」は,「ある会計情報が,会計基準全体を支える基本的な考え方と矛盾しないルールに基づいて生み出されていること」を求めた規準であり,海外の先例に見られないわが国特有の概念となっている。ミクロな経済主体のゲーム的相互作用をつうじて社会的ルールとしての「制度」が形成されると考える比較制度分析(Comparative Institutional Analysis)の観点から,わが国の会計制度変化において果たす「内的な整合性」の意義と機能を明らかにした。フランスにおける会計基準の国際的調和化は,同国の会計原則とされる「プラン・コンタブル・ジェネラル」(Plan Comptable General)を基軸にして進められている。フランスは,成文法の国でありながら,会計の国際的調和化の局面では,プライベート・セクター(国際会計基準審議会IASB)主導の会計規制との「調和化」が要請されることになる。この状況は,わが国のそれと共通するものである。成文法には原則規定のみを残し,会計基準(accounting standards)は法令外の準公式文書で規定する「脱法令化」(declassification)によって,フランスはこの「調和化」を図っていることを明らかにした。以上のほか,わが国における新公益法人会計基準(2004年公表)を素材にして,公益法人制度改革の特徴を明らかにした(研究(3))。また,わが国における会計ビッグバンの最終局面をなす減損会計の導入を素材にして,現行会計制度の基本的枠組みをなす原価主義の現代的特徴を明らかにした(研究(4))。研究(3)(4)は,研究(1)(2)の補完的研究として位置づけられるものである。
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Research Products
(4 results)