2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530337
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 秀樹 京都大学, 経済学研究科, 教授 (80173392)
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Keywords | 会計基準のコンバージェンス / 比較制度分析 / 会計制度 / 制度変化 / 非営利組織 |
Research Abstract |
近年の会計ルールの設定は,実証研究によって明らかにされてきた経験的証拠とは必ずしも整合しない形で展開しつつある。国内外の実証研究によって有用性が繰り返し確認されてきた純利益を業績報告から排除し,利益概念を包括利益に一元化しようとする国際会計基準審議会(IASB)の一連の基準設定作業(その試行も含む)は,その最も象徴的な事例である。本年度は,こうした事例を主要な素材としながら,会計制度の変化のプロセスを理論分析的に検討した。検討のための理論的枠組みとして比較制度分析(Comparative Institutional Analysis)を援用した。この検討作業は,「会計制度の変化のプロセスを理論分析的に描出する」という本研究の主目的の遂行に係るものである。新しい会計ルールは多くの場合,経済社会の秩序維持に関わる諸問題(典型的には会計不正問題等)に対処するために設定されるが,その設定作業は諸問題の科学的な認識にもとついて実施されるとは限らない。一般的承認(general acceptance)を1つの主要な成立与件とする会計ルールの形成においては,ルール設定者たちの(市場を守るという)信念,市民の限定合理的な状況理解,経済主体の進化ゲーム的な相互作用といった諸要素が重要な役割を果たすことになる。本年度は,非営利組織にまで研究対象を拡張し,制度変化の理論分析を行なった。その研究成果である「非営利組織の制度進化と新しい役割」(裏面参照)で,平成18年度非営利法人研究学会賞を受賞した。
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Research Products
(6 results)