2006 Fiscal Year Annual Research Report
内部監査人の独立性にワークショップ型CSAが与える影響分析
Project/Area Number |
17530345
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
堀江 正之 日本大学, 商学部, 教授 (70173630)
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Keywords | ワークショップ型CSA / 監査人の独立性 / 内部監査人の精神的独立性 / 内部監査人の外観的独立性 / 内部監査人に要求される技能 / ファシリテーション能力 / リスクの認識 / リスクへの対応 |
Research Abstract |
ワークショップ型CSAの設定と運営を被監査部門の責任のもとで行うにせよ、内部監査部門の全責任のもとで行うにせよ、ワークショップの主役は、あくまでも参加者自身である。あくまでもself(自己)が大前提であって、参加者が討論や体験を通じて、互いに学び、共有し合い、ときには反発し合うことで、「新しい知識や役割」(リスクの認識やリスクへの対応方法など)を見出してゆくという相互作用が生まれることが期待されている。 その意味において、内部監査人が、CSAワークショップに主体的に関わろうとすればするほど、これまでの監査人像からは想像もできないような、まったく新しい技能と対応が要求されることになる。ここに、内部監査人に要求される技能としてのファシリテーション能力と、監査人の独立性の保持との衝突・格闘がみられる。ところが、内部監査人に要求される技能を詳しく検討分析してみると、それが逆に、内部監査人の精神的独立性の保持にとっても不可欠な要素であることが、ヒアリング調査等を通じて明らかとなってきた。 すなわち、ワークショップ型CSAを導入することによって内部監査人に要求される、非構造的な問題を識別し解決する能力、意思決定のモデリング能力、変化を予測し適応する能力、解決策及び合意点を交渉する能力、効果的に討論する能力、リーダーシップ能力などは、内部監査人の精神的独立性にとって、むしろプラスの効果として作用するといえよう。ワークショップ型CSAが内部監査人の独立性を削ぐとする単調な議論は、どうもワークショップの運営方式が内部監査人の外観的独立性に与える影響を捉えたものに過ぎず、本質的には、正の効果が少なからず見られるものといってよい。
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Research Products
(5 results)