2006 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク型社会における企業の社会貢献活動の現状と課題
Project/Area Number |
17530368
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小谷 典子 (三浦 典子) 山口大学, 人文学部, 教授 (60117083)
|
Keywords | 企業の社会貢献活動 / メセナ / 企業の社会的責任(CSR) / 地方都市 / NPO / ネットワーキング / ステークホルダー / 現代アート |
Research Abstract |
本年度の研究の第1は、山口県における企業の社会貢献活動に関する先進的な活動事例にかんする実態調査を、質的聴き取り調査方法で実施した。 山口県と山口県社会福祉協議会が主体となり、山口県経営者協会の協力を得て、平成8年度から実施してきている山口県企業ボランティア活動促進モデル事業所指定制度で、平成17年度までに指定された全事業所を対象に、企業の社会貢献活動担当部署に対する調査を実施した。面接および郵送調査の結果、約半数の20の事業所に関して、活動の実態、及び地域社会における他団体との活動のネットワーキングの現状を明らかにすることができた。 これらの調査結果は、『2005-2006年山口県における企業の社会貢献活動に関する調査報告書』にまとめた。 研究の第2は、企業が中心となり、地域社会の文化活動を支援すること(企業メセナ活動)によって、アートによる地域の活性化が試みられている事例を調査した。 具体的には、新潟県十日町市と香川県直島町において活動の実態について聴き取り調査を行った。 十日町市は、2000年から「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」が開催されており、2006年は第3回目の芸術祭が開催された。329の世界中から選りすぐられた現代アート作品が中山間地域に点在されるイベントは、行政、企業、地域住民、若者ボランティアが連携して、地域活性化に貢献していることを明示していた。イベントの経済的、社会的担い手の中核は、行政から民間、企業へと移行しつつあり、企業に対する地域社会の期待が大きくなってきている。 また直島町は、かつては三菱マテリアルの企業城下町であったが、近年、ベネッセコーポレーションが関わる文化財団の活動によって、現代アートの島として変貌を遂げている。2006年度には現代アートの「直島スタンダード展」が開催された。 これらの事例調査の結果から、一方では企業のメセナ活動が進展しており、他方ではアートNPOが育成され、それらが文化(アート)を介して結びつくことによって、ネットワーク型社会として地域が活性化する方向性が示唆できた。
|
Research Products
(4 results)