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2006 Fiscal Year Annual Research Report

精神障害者の病いの認識に関する研究

Research Project

Project/Area Number 17530374
Research InstitutionSaitama prefectural university

Principal Investigator

加藤 朋子  埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (80315720)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 伊元 勝美  埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (90336496)
Keywords精神障害者 / 生活史 / 語り / 認識 / 関係性
Research Abstract

本研究の目的は,地域で生活している精神障害者13人からライフストーリーの聞き取りをおこない(12人はケーススタディとして呈示し,1人は抜粋),1.精神の病いを経験した人びとが,生きていくうえで直面している困難は何か,そして,2.彼ら/彼女らはその困難にたいしてどのような取り組みをしてきたか,を明らかにすることである。
1の問いについて,精神障害者たちの語りには,病いだけではなく当事者たちの人生そのものを精神医療に取り込む力にさらされてきたという困難が,あらわれていた。
具体的に,人生そのものを精神医療に取り込む力は,つぎの3つの体験としてあらわれていた。
(1)病いに対する説明もないまま,長い入院を強いられる。病状のみに関心があり,働くことや結婚することに対して,関心がないという医療者の態度からもたらされた,人としてあたりまえの生活を望めないような体験。
(2)専門職とのかかわりにおいては,「子ども扱い」,働く場では,「怠惰とみなされる」という,病いと理解されても,されなくても,一人前とみなされない体験。
(3)日々暮らしていく上で抱いている差別されるのではないかという不安や恐れと病いとさとられないための意図的な行動。
これらの困難を抱え,当事者が絶望するのは,病いになったこと自体ではなく,病いになったことで受ける,「人として尊重されないような扱い」であることがわかった。
2の問いについては,精神障害者自身が自分の病いや自分の存在をどのように捉えてきたか,その変遷と変遷を促した要因を描き出すことで,困難にたいして,どのような取り組みをしてきたかを考察した。
語り手たちの多くは,「人として尊重されないような扱い」を受け,病いになった自分のことを「価値のない存在」として認識していた。その認識が「病いになっても価値ある存在」と変化していったきっかけは,病名を知ることで,現実と向き合うこと,信頼できる医師や共同作業所,同じ病いの仲間たちと出会うことで,人として尊重される体験をしたことだった。語り手たちは,病いになってから,入院や服薬,症状や障害など,自分が受け入れていくことばかり要求されてきた。しかし,語り手たちは,<受け入れること>より<受け入れられること>で,<なくすこと>より<語ること>で,体験した出来事や病いの意味を捉えなおしていた。そして,その作業は,同時に,自分の病いと向きあい,受け入れていく過程でもあった。その結果として,語り手たちは,具合が悪いときは,原因を考え,対処する--医師に相談する,お題目を幻聴にたたき付けていく,よく眠る,成功したことを思い返し,自分をプラスに持っていく--という,自分の症状やスティグマに対して,主体的に取り組むようになっていった。

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Published: 2008-05-08   Modified: 2016-04-21  

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