2005 Fiscal Year Annual Research Report
グローバリゼーション状況における日本型新宗教の可能性についての比較社会学的検討
Project/Area Number |
17530378
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋庭 裕 大阪府立大学, 人間社会学部, 助教授 (40222533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 亮 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 教授 (00214677)
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Keywords | 日本型新宗教 / グローバリゼーション / SGI / 創価学会 / 真如苑 / ハワイ / 「戦争花嫁」 / 現世肯定的救済 |
Research Abstract |
課題検討のため、8月と1月にアメリカ合衆国ハワイ州において調査を実施した。調査対象は、真如苑ハワイ支部・ハワイSGI(創価学会インターナショナル)・マキキ聖城教会、およびワタベ・ウェディング・ハワイ支社である。 日本という土壌を離れて、日本型新宗教がどのように当該社会に受容されたのか明らかにするため、最初に布教の歴史と伝播のネットワークをたどった。その結果、初年度調査地ハワイの「戦略的」な重要性を見いだした。つまり、ハワイは日米の社会・歴史・経済において媒介的な役割を果たしてきたことが、宗教的な側面においても理解できる。 ハワイは日本人移民を受け入れてきた長い歴史をもち、日系人は人口の20パーセント以上に達する。これらの人びとが高度経済成長のさなか海外布教が活発化した新宗教の受け皿になったのである。しかし、浄土真宗のようなすでに戦前に布教が本格化していた既成教団と異なって、新宗教はそれらの人びとに直接受容されたのではない。SGIも真如苑も、「戦争花嫁」として知られるアメリカ軍人・軍属の配偶者としてハワイ・米本土に渡った女性を中心に教えを広めた。いわゆる「戦争花嫁」は戦後直後に限定された存在ではなく、戦後期も継続して存在した。戦後の日本経済の復興において米軍駐留がもたらしたインパクトと、ハワイ経済における軍の重要性の中で、「戦争花嫁」は日本女性の特徴的な社会移動の経路として存在した。彼女らはアメリカ人を配偶者とするから、ここに日本人・日系人を超える布教が開けたのである。新宗教の海外伝播において彼女たちの存在はエピソード的なのではなく本質的である。 では、「教え」的にはどのような要素が、多くはキリスト教的な背景を持ち、多様なエスニシティに属する人々を惹きつけたのであろうか。この点の解明は、来年度以降の課題であるが、現世肯定的な救済観がその中核に存在すると仮説的に考えている。
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Research Products
(2 results)