2007 Fiscal Year Annual Research Report
グローバリゼーション状況における日本型新宗教の可能性についての比較社会学的検討
Project/Area Number |
17530378
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋庭 裕 Osaka Prefecture University, 人間社会学部, 准教授 (40222533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 亮 大阪大学, 人間科学部, 教授 (00214677)
稲場 圭信 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (30362750)
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Keywords | 日本型新宗教 / グローバリゼーション / SGI / 創価学会 / 現地化 / 救済観 / アメリカ:イギリス / 宗教社会学 |
Research Abstract |
課題検討のため今年度は、2007年8月にSGI-UK(創価学会インターナショナル・イギリス)を、12月にSGI-USA(創価学会インターナショナル・アメリカ)を訪問し調査を実施した(今回のアメリカ調査は、他の研究費によるもの)。 SGI-UK、2005年以来継続中の、アメリカ合衆国での調査で得られた知見と、比較対照のため実施した。UK調査はパイロット調査にすぎないが、興味深い論点を得た。 つまり、日本型新宗教がキリスト教をベースとする西欧文化圏に定着するとき、初期の紹介的な導入段階を経たあと、次に直面する共通の課題が存在することを見いだした。それは、宗教上の教義的な問題であるよりも、組織論的な課題である。信者の現地化が進行し、メンバーの日本人の比率が少数者へと低下した段階で、日本人が当初大半を占めた役職者のポストの、現地のメンバーへの移譲がスムーズに進行しない場合、教団組織の発展が停滞したり、(SGI-USAにおけるように)深刻な危機を迎える局面が訪れるということである。 そもそも、たとえ海外に教線が伸びても、信者が日本人以外に拡大しない教団では、このような問題は生じない。しかし、今日SGIは、世界190カ国・地域の170万人に受容されていることからも明らかなように、このような組織論的な課題を解決し、あるいは解決しつつ展開する、興味深い事例なのである。 前年度までに、信者の人的ネットワータの拡大契機と、教義的な救済観の異文化への適合性を調査し検討したが、今年度は、それらに加え、組織論的な研究課題を見いだしたことで、グローバリゼーション時代における日本型新宗教の特色と意義について、社会学的分析な遂行する上で必要な枠組を整備できた。
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Research Products
(5 results)