2008 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期沖縄のハンセン病問題と「生活世界としての療養所」に関する実証的・理論的研究
Project/Area Number |
17530382
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 文哉 Yamaguchi Prefectural University, 社会福祉学部, 教授 (90305798)
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Keywords | ハンセン病 / 沖縄 / 愛楽園 / 隔離 / 青木恵哉 / 沖縄学 / 差別問題 / 療養所 |
Research Abstract |
本年度に掲げた研究課題は、(1)愛楽園入園以前にハンセン病罹患者がおかれた社会的境遇に関する社会調査、(2)旧沖縄縣時代における公衆衛生・医療行政関連の資料収集、(3)戦前期の沖縄におけるハンセン病問題に関する総括、の三点であった。 (1)に関しては、ハンセン病の国立療養所「沖縄・愛楽園」で、2回の聞き取り調査を行った。(2)に関しては、この方面の文献・資料の検索と蒐集を行った。(3)については、(1)で得たライフヒストリーの聞き取りを一つの解釈枠組みにしながら、1927年から1930年にかけての後原隔離所での青木恵哉の生活実情を、彼の自伝『選ばれた島』における記述に踏み込み、療養所がなかった時代の沖縄のハンセン病罹患者たちがおかれた社会的現実の一端を再構成しつつ、そうしたなかで、ハンセン病罹患者たちがどのように生き抜いてきたのか、また青木自身、どのような「救癩」活動を行ったのか、またなぜ行いえたのか、に関する社会学的考察を行い、ハンセン病療養所がないことが、行路病死という罹患者の社会的転落への可能性を開くことを明らかにした。また、研究課題の「戦前期」という時代区分は不明確であり、「療養所がなかった時代」と療養所構築後とに区分することのほうが、研究遂行上、より妥当性を持つことが、明らかになった。
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Research Products
(1 results)