2006 Fiscal Year Annual Research Report
縦断追跡調査におけるインタビューの構築主義的視角からの検討
Project/Area Number |
17530387
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
南 保輔 成城大学, 文芸学部, 教授 (10266207)
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Keywords | 社会学 / 社会系心理学 / インタビュー / 調査法 / 思い出 / 語り / 人間形成 |
Research Abstract |
引き続き「変わった」という発話の収集を目的として、女性3人組によるおしゃべりセッションを2回実施して録画・録音した。30歳代後半と60歳代後半の女性トリオを対象とした。残念ながら、外見を除くと、あまり「変わった」という発話はなされなかった。セッション後、3人の選び方がその理由のひとつであることを示唆する発言があった。研究代表者の知人に「長く知人関係にある3人組」を紹介してもらいたいとお願いしている。だが、3人の女性を同じ時間帯に集めるのは簡単ではなく、親しく付き合っている仲良しトリオとなる。その場合、3人は知己期間を通じてそれほど変わっていないということになる。また、「変わった」と言うことは、悪口の一種となりがちであり、同窓会で久しぶりに会ったとしても、昔と変わらない側面を強調したがるという指摘もあった。 テレビのトーク・インタビュー番組ではどうなっているかを調べるために、NHK総合の『スタジオパークからこんにちは』と『徹子の部屋』を比較した。同じゲストのものを10組選んだ。同じ話題を語っているときでも、その場面の作り方によって、どのように話すかのみならず、どれだけ話すかに違いがあるということがわかった。「早口でおしゃべり」の黒柳徹子だが、ゲストがデザインした仕事着の説明を聞いているときにはあまり話すことができなかった。後の放映である『スタジオパーク』では、仕事着の実物をスタジオに持ち込むのではなく、スタイル変更前と変更後の写真をディスプレイに映し出すようにしていた。そのために、インタビュアーからの発言も途絶えることなく、切れ目ないトークとなっていた。場面の作り方、「構築」によって話し方が変わってくるということの好例が得られた。 また、追跡調査対象である海外帰国子女が、日本で就職した。その経緯などについてインタビュアーを実施した。
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