2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530432
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
田中 千枝子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40276861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱川 愛 東海大学, 健康科学部, 講師 (30338769)
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Keywords | ストレングス / アセスメント / 協働 / スケール開発 / エンパワメント / アセスメントツール |
Research Abstract |
当該研究も2年次を迎え、以下の研究活動を行い成果を得た。 1)ストレングスの要素と項目を先行研究とインタビュー調査から分析して、マトリックスのモデルであらわした昨年度の研究成果を、社会福祉実践理論学会にて発表した。内容としては、ストレングスの展開過程を適切にあらわすモデルとなっているかどうかの確認を行い、個人と家族のミクロの範囲に於いて、円滑なストレングスの展開が確認された。ちなみにマトリックスの項目は、内部(熱望・コンピテンシー・自信)物理的・社会相互作用的・組織制度的・社会政治文化的に分類可能であった。 2)1)で析出されたストレングスの項目を、スケール化するためまず予備的量的調査を行った。5名の各地で活躍している医療ソーシャルワーカーに依頼し、10件の当事者のインタビューの中でプリテスト・ポストテストを繰り返し、信頼性・内的一貫性・内容妥当性・質問項目のわかりやすさ等を確認した。確認手順はプレテストとポストテストの相関係数を調べ、また内的一貫性を測定するために、因子ごとのクロンバッハのα係数を調べ大部分0.75〜0.99であったため、信頼性妥当性内的一貫性が高く妥当であるとの結論を得た。 3)2)をもとに本調査を行った。方法は研究協力依頼を了承した全国20名の医療ソーシャルワーカーに調査表をおくり、対象とした若年認知症者とその家族59件に対して実施し、回収した。結果としては、ストレングスの尺度項目は、マトリックスのセルごとに2〜5の質問から成る構造を持っており、とくに「熱望」の基礎にあるレリジエンシーの強弱によって、その後の評価が有意に変化することが分かった。 4)ストレングスを評価するもう一つの方法としての、当事者との協働アセスメントツールの開発を、全国各地で研究協力を了解された医療ソーシャルワーカーとの協同開発を行った。ツールのヒントを求めて、7月にミュンヘンで行われた国際ソーシャルワーカー連盟の会議に出席した。その結果、オーストラリアのA.Turnellの開発した児童保護のアセスメントツールであるサインズオブセーフティーが、当事者との協働性に優れているとの感触を得た。その結果、日本で行われたA.Turnellのワークショップに参加し、独自のアセスメントツールの開発に着手するために、研究会を立ち上げた。
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