2006 Fiscal Year Annual Research Report
複合的多問題地域にみる社会的排除の構造理解とその生活福祉支援に関する比較地域研究
Project/Area Number |
17530438
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
三本松 政之 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (10196339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝倉 美江 金城学院大学, 現代文化学部, 助教授 (00310269)
大井 智香子 中部学院大学, 短期大学部, 専任講師 (60352829)
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Keywords | 外国人労働者 / 複合的課題 / 生活支援 / 生活課題 / 生活福祉 / 異質性容認志向 / 美濃加茂市 / 可児市 |
Research Abstract |
1.昨年度構築した分析枠組み、作業仮説にもとづき仮説検証に向けて、主に岐阜県美濃加茂市および可児市において、県庁、市役所、当事者としての外国人労働者、外国人当事者団体、生活支援にあたっているNPOなどからの聞き取り調査を行った。関連して群馬県太田市、大泉町での資料収集、神奈川県内市町村における外国人向け生活支援情報の提供のあり方を検討するために生活ガイドの収集を行いその整備状況とその内容について整理を行った。 2.聞き取り調査では、外国人労働者の居住する地域での複合的な生活課題の存在とそれを形成する規定条件を明らかにすることを課題とした。生活課題は、教育、医療、住宅など多岐にわたると同時に、それらが就労条件に規定されて複合化したものとなっていることを確認した。 3.生活課題の解決にあたっては、複合的課題の一側面が認識されても、他の側面は潜在化しがちである。 4.解決主体としては、公的領域の基礎自治体、公設公営施設など、私的領域では企業、インフォーマル・セクター、個人など、また共同領域にはNPO、ボランティア組織、自治会などが位置づく。それらの取り組みのなかでは共同領域の諸団体における自発的かつ試行的な取り組みが特筆される。各領域における諸主体ではそれぞれの組織特性の持つ限界性のなかでの対応の取り組みも見られる。さらに有効な支援のためには、資源の拡充とともに関係諸主体間の連携が欠かせない。 5.調査対象とした両市の異質性容認志向は高まりつつあるが、自治体の取り組み姿勢は外国人労働者としての位置づけのもとでの対応にとどまりがちである。その背景には国の基本施策の変更の取り組みが消極的なことがある。 6.次年度実施予定の外国人労働者に対する実態調査では、潜在化している生活課題を把握し、こうした生活課題の解決のために各領域問にどのような役割分担や協働の可能性が見出されるのかについての考察を深めたい。
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Research Products
(2 results)