2006 Fiscal Year Annual Research Report
都市直下型地震に対する住民と自治体の防災意識のギャップ
Project/Area Number |
17530461
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
永田 尚三 武蔵野大学, 現代社会学部, 准教授 (40286216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
卜部 敬康 奈良大学, 社会学部, 講師 (80368589)
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Keywords | 防災 / 態度 / 社会系心理学 / 住民 / 自治体 / 防災行政 / 防災政策 / 危機管理ガバナンス |
Research Abstract |
都市直下型地震としての阪神・淡路大震災は、多数の犠牲者を出すことになった。事後の検証では死者の90%が、地震発生後15分以内に死亡している。阪神・淡路大震災では、住民からも一部のマスコミからも、行政の対応の遅さが指摘された。 しかし地震発生後15分以内に、死者の大半を救出することは期待できない。このことは都市直下型地震においては、地震発生後の対応を改善することによる被害の劇的な軽減は、期待しがたいということを示している。つまり、都市直下型地震対策としては、都市構造の抜本的な強化が必須である。しかし都市構造の改善は、容易に進まない。行政は住民の無理解を嘆き、住民は行政の身勝手を主張するという構図は現在の日本の都市ではありふれたものである。 行政は、行政自身と住民の意識が異なっていることは、ある程度は承知している。しかし住民の意識と行政が予測している住民の意識の間にも、非常に大きな違いがあり、その結果、住民は行政の提案に不満を表明することが多く見られる。この住民の意識と行政の意識のギャップを埋める作業をしないかぎり、防災計画の遂行は困難である。 そこで本研究では、住民の防災意識と行政の考える住民の防災意識を明らかにし、その違いを検討すること及び、住民と行政の相互理解を深めるための具体的プログラムを提案することを目的としている。 この2年間の調査研究からは、住民と行政の防災をめぐる認知ギャップが、ある程度検証された。また行政機関間の認知ギャップの大きいものがある。例えば、広域行政で消防を運営している市町村では、消防本部は、市町村とは別組織となり、当事者意識は薄い上に、防災意識も低く、また実働部隊を持たないことで、防災上の権限もほとんど無く、防災計画で規定できる内容にも限界がある。 一方、住民は、その様な現状は知らず、広域消防を自分たちの消防だと思っている。 今後、この様な認知ギャップを改善する具体的プログラムの構築を目指したい。
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Research Products
(1 results)