2005 Fiscal Year Annual Research Report
介護看護等の対人援助活動における「適切さ」に関する研究
Project/Area Number |
17530463
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
松浦 均 中部大学, 人文学部, 助教授 (90257577)
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Keywords | 援助行動 / 援助経験 / 社会的スキル / 共感性 |
Research Abstract |
1.不適切な援助を受けた場合の被援助者の感情についての研究 必ずしも適切とは言えない援助の行動を受けた際に,被援助者は援助を受けることで感謝等の肯定的感情を持つ一方で,否定的な感情も生起すると考えられる.不適切援助を受けた際の否定的感情の構造を明らかにした(日本社会心理学会第46回大会にて発表.発表論文集p.484-485.2005年9月).また,2005年度中に,同研究の感情の評定を基本的感情の次元に置き換えたものを使用し,さらに不適切な援助場面を系統的に整理し直して,筆者の2005年度のゼミ学生の卒業研究として再度データを収集した(2006年度の社会心理学会で発表を予定している). 2.援助行動発動時における社会的スキル,共感経験,援助行動経験の影響について 援助行動を経験したことがある者とない者とでは,次の同様の場面で援助行動を起こすのかどうか,とくに失敗や不適切な援助経験をした者や経験したことがない者が,次の機会に援助行動をしない理由について分析した.また援助行動経験とその援助が成功したのか否かで次の援助場面での援助意思にどのような影響があるか調べた.援助経験,社会的スキル,共感経験等があり,その援助が成功であった者ほど次回の援助意思が高いことがあきらかになった.応用心理学研究第31巻2号掲載決定(現在印刷中). 3.援助行為についての援助者側と被援助者側との認識の違いについての研究 同じ援助場面でも,援助者と被援助者とで状況分析が異なることを実証した.援助者側の方が状況を軽く見ているが,援助者の行為について被援助者側は好意的に評価していることが明らかとなり,援助場面における両者の関係性を記述することができた.さらに状況認識の相違について,パーソナリティ変数を入れて再分析した結果,一部パーソナリティの影響が明らかになった.本研究については,論文にして投稿し,現在審査中である.
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