2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530464
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
遠藤 由美 関西大学, 社会学部, 教授 (80213601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐沢 かおり 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (50249348)
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Keywords | 自己統制 / 感情 / 制御資源 / 主観的時間 |
Research Abstract |
『自己制御の社会心理学的研究』の初年度の今年度は、自己制御に関する理論的枠組みを仮説的構築することから研究を開始した。先行研究を概観し、自己制御ないし自己統制の成否は意志の強さや誘因の強さによってのみ規定されるのではなく、制御を実行するための資源(制御資源)量の影響を受けることを見いだした。では、制御資源の量が自己制御の必要十分条件と言えるか?我々研究班はまず、制御資源の他に自己制御の目標達成後の感情(例:後悔)について予期が関連するのではないかという仮説を立て、実験によってこれを検討した。すなわち、制御資源量とならんで、自己統制行動実行後に経験するだろうと思われる感情の予期を操作し、食行動統制に与える効果を検討した。その結果、制御資源が十分にある場合は、短期的ポジティブ感情・長期的ネガティブ感情のいずれがプライムされても自己統制は成功し、食は抑制された。他方、制御資源が乏しい場合は、喚起される感情のタイプによって自己統制の成否が分かれた。これとは別に、嗜好追求行動を抑制しようとすると制御資源が奪われるため、他の行動の遂行に対して妨害要因として働くかを、主観的時間を測度として検討した。具体的には、喫煙欲求のある状態で喫煙抑制を求められる喫煙者は、欲求をプライムされない喫煙者に比べて、課題作業に従事する時間を主観的に長く感じるか否かを検討したところ、課題に同じ時間従事したにもかかわらず、予測とは反対に、自己統制をより強く求められる喫煙者は他方よりも主観的時間を短く感じていたことが判明した。これらの結果はともに、先行研究の指摘どおり、自己統制においては制御資源が重要な規定因であることを改めて確認するものであると同時に、統制行動の遂行前あるいは遂行中の感情が関与している可能性を新たに示唆するものと考えられる。来年度は、これらの結果を再現し、さらに堅固なものとすることを計画している。
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Research Products
(1 results)