2008 Fiscal Year Annual Research Report
小学校の中学年から中学校1年にかけての学習動機の発達的な変化に関する縦断的研究
Project/Area Number |
17530467
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
臼井 博 Hokkaido University of Education, 大学院・教育学研究科, 教授 (90070119)
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Keywords | 学習動機 / 達成目標理論 / 学校間移行 / 学校適応 |
Research Abstract |
今年度は、本研究課題の最終年度であり、これまでの4回の調査データの分析を主にして行った。改めて、本研究の意義と目的をふり返ると、小学校の中学年から高学年にかけての学習意欲の低下、特に中学校の入学にともないさらに目立った低下があるとする従来の研究知見の妥当性を検討することであった。今ひとつの課題は、いわゆる「中1プロブレム」として知られる中学校入学にともなう学校適応の低下についてもその妥当性を検討することであった。これまでの知見の重大な問題は、ほとんどすべての研究は横断的な研究であり、対象の異なる学年集団の相互のサンプルとしての等質性を保証したものではなかったことである。特に、小学校から中学校への変化については、同一の学校区という研究はなかった。また、サンプル数が相対的に少ない研究も多かった。こうした問題点により、従来の知見の一般化可能性には疑問が残っていた。そこで、本研究ではまず多数のサンプルを得ること、同一の学校区の小学校3年生から6年生までと中学校1年生から3年生の児童・生徒を対象にして、1年から2年に及ぶ縦断的なデータを収集した。また、今年度は一つの小学校のこの研究の開始時の3年生の卒業直前の第5回の調査も実施したので、この子どもたちについては3年生から6年生までの5回のデータがすべてそろうことになった。 また、結果の一部分は昨年の日本教育心理学会第50回総会(東京学芸大学)において発表した。そこでは、小学校6年から中学校1年への学校間移行における学校適応に焦点を当て、2つのコホートのデータについて縦断的な分析を行った。自分の学級の中での居心地のよさについては、小学校6年から中学校1年で下降傾向が見られた。しかし、学習に対する積極性と仲間適応についてはその逆に上昇傾向があった。このように、縦断的なデータからは中学校の入学による「中1ギャップ」のマイナスの影響は認められなかった。
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Research Products
(1 results)