2006 Fiscal Year Annual Research Report
共分散構造分析の応用的研究に関して特段に重要な最新トピックに関する教授法の研究
Project/Area Number |
17530489
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
豊田 秀樹 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60217578)
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Keywords | 共分散構造分析 / 高次積率 / データマイニング / 母数の推定 / 非統制 / 識別問題 |
Research Abstract |
構造方程式モデリングには,従来,以下の3つの大きな問題点があった.1つは正規性(Normality)の問題である.多変量正規分布に基づく数理統計的な理論に支えられる部分が多い.このため観測変数の分布が歪んでいるなど非正規データに対する対処が十分とは言えない.2つ目は識別性(Identifiability)の問題である.実質科学的に要請があり,実学的に意味のあるモデルであっても,しばしば解が一意に定まらずに識別不定になる.3つ目は同値モデル(Equivalent model)の問題である.互いにライバル仮説として論拠をもつ複数のモデルを比較したいときに,データをとる前から,仮にデータをとっても適合度の観点からは区別がつかないことが知られているモデル群がある.心理統計学には,大まかに「1次の積率(平均)の構造化による分散分析から,2次の積率(共分散)の構造化による共分散構造分析へ」という流れがあった.それを延長して,高次の積率を構造化すると,1.ほとんど,どんな分布でも漸近的に有効な推定量が構成でき,2.実質科学的に要請があるパス図に関して解と適合度が一意に求まり,3.同値モデルに遭遇せずに,適合度の観点からライバル仮説を比較できる,という驚くべき性質が現れる.上記3つの問題点は,実用的な意味からは,ほぼ全面解決する.その推定量はADF3(Asymptotically Distribution-Free method utilizing up to 3rd order moments)と呼ばれる.当該年度はADF3の性質を調べた.
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Research Products
(3 results)