2005 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期の心理的ストレスを軽減する楽観性の研究-弾力性と非現実性の検討-
Project/Area Number |
17530494
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
小花和 Wright 尚子 武庫川女子大学, 文学部, 助教授 (80249424)
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Keywords | 幼児の楽観性 / 帰属スタイル / 唾液中αアミラーゼ |
Research Abstract |
本研究において本年度に明らかにする点は,次の2点であった。1)心理的ストレスに対する幼児の帰属・認知スタイルおよび感情反応を調査し,児童期以降の楽観性概念との比較から,幼児期の楽観性を把握する。2)心理的ストレス場面での幼児の生理的ストレス反応を測定し,1)の結果との比較により,幼児期の楽観性がもつ弾力性と非現実性の特徴を明らかにする。平成17年4月より,複数の幼稚園に調査協力を要請し,平成18年2月より1園において調査を開始することができた。平成18年3月までに,4歳児,5歳児を対象として,日常生活での成功と失敗に対する帰属・認知スタイル,および特定の保育場面における感情反応を個別に聞き取った。さらに,登園後(平静時),聞き取り調査に使用した特定の保育場面の直前(緊張時),直後(解放時)の3回について,唾液中αアミラーゼを簡易ストレスモニター(ヤマハ発動機α-Amy)で測定し,サリベットによって唾液を採取した。サリベットに採取した唾液はただちに冷凍保存し,解凍後遠心分離し,再び冷凍保存した。幼児の保護者には,幼児の楽観性および日常生活での帰属・認知スタイルに関する質問紙を配付・回収した。なお,これらの調査については,あらかじめ幼児の保護者に書面で承諾を得た。唾液採取の対象数は140名,聞き取り調査における有効回答数は152,保護者による質問紙調査の有効回答数は145であった。現在,保護者の視点から把握される幼児の楽観性(質問紙調査)と,幼児の自己報告から把握される楽観性(聞き取り調査)を比較し,心理的指標による幼児期の楽観性概念を検討している。また,冷凍保存した唾液の分析を今後行い,幼児の感情反応についての自己報告(聞き取り調査)とストレス場面における唾液測定結果を照合し,自己報告と生理的反応が一致する群(一致群)と一致しない群(不一致群)の分類と比較を行う。
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