2006 Fiscal Year Annual Research Report
音声コミュニケーション時の対人的な認知能力を反映した対話能力の教育評価方式の開発
Project/Area Number |
17530499
|
Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
内田 照久 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助教授 (10280538)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 智一 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (00168238)
荘島 宏二郎 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助手 (50360706)
中畝 菜穂子 国立大学法人新潟大学, 入学センター, 助教授 (00321563)
|
Keywords | 音声コミュニケーション / リスニングテスト / 基本周波数 / 発話速度 / STRAIGHT分析合成 / 性格特性5因子モデル / 性格印象 / 印象形成 |
Research Abstract |
他者との対話場面では、自分が話している相手がどのような人柄の人間なのかということを、常に推し量りながら会話を進行させていく。特に、電話などでの音声コミュニケーションの場面では、話し方の特徴、音声そのものが、話者の人柄や性格を推測するための手がかりとなる。 本研究では、このような対人的な認知能力を反映したコミュニケーション能力測定を行うための基礎研究として、音声の時間構造や基本周波数の変化、すなわち、話す速さや休止時間の配分、声の高さや抑揚の特徴に着目した研究を行っている。 本年度は、昨年度に引き続き、特に音声のイントネーションに関する研究を重点的に進めてきた。また、コミュニケーション能力の測定には欠かせないリスニングテストの実施方法に関する検討も平行して行った。 まず抑揚を対象とした実験を行うため、高品質な音声分析合成方式であるSTRAIGHTを用い、音声の基本周波数F_0を操作した。そして、音調曲線の高低を反転させる処理を行うことにより、未知のイントネーションを具現化した音声刺激の生成に成功した。それらの音声刺激を用いた聴覚実験を行った結果、私たちの未知のイントネーションに対する寛容性、標準的なアクセントや音調パターンから逸脱した音声であっても許容する心理的な柔軟性が見出された。また、実在しない未知のイントネーションであっても、そこに何らかの方言らしさを感じ取り、自分にとって馴染みの薄い地域方言に、その音声を帰属させる傾向があることも見出された。 これらの結果は、研究論文としてまとめられ、「音声研究」に掲載されたところである。 次に、リスニングテストの実施方法の検討に関しては、大学入試センター試験で採用されている個別音源方式の改良を念頭において実験を進めた。実際に、受験者が個々に機器を操作して試験を受ける形式で実地調査を行ったところである。結果については、「大学入試センター紀要」に掲載される予定である。
|