| Research Abstract |
平成20年度は,(1) 大学生用能動的・反応的攻撃性尺度の因子構造・信頼性・妥当性の更なる検討(研究1),(2) 大学生の能動的・反応的攻撃性と攻撃行動との関連の検討,(3) 大学生の能動的・反応的攻撃性と境界性パーソナリティ障害傾向,自己愛性パーソナリティ障害傾向, 対人恐怖傾向との関連の検討(研究3), 以上3っの研究が実施された. 研究1では616名 (男294,女322) の有効回答者のデータを分析したところ, 易怒性, 怒持続性, 報復意図, 外責的認知, 他者支配欲求, 攻撃有能感, 欲求固執の7因子が特定された. 下位尺度はいずれも高いα係数を示し, 併存的当性も実証された. 研究2では, 251名 (男92,女159) の大学生を対象に大学生用能動的・反応的攻撃性尺度とBuss-Perry攻撃性質問紙 (身体的攻撃,言語的攻撃) と磯部・菱沼 (2007) の大学生用攻撃性尺度 (関係性攻撃) を実施. 重回帰分析の結果, 身体的攻撃は報復意図, 欲求固執, 易怒性が, 言語的攻撃は欲求固執と攻撃有能感が, 関係性攻撃は報復意図, 他者支配性, 怒持続性がそれぞれ正の有意な予測子となることが明らかにされた. 研究3では354名の大学生を対象に, MCMI-IIの境界性パーソナリティ尺度, 対人恐怖心性一自己愛傾向2次元モデル短縮版も合わせて実施された. 重回帰分析の結果, 境界性パーソナリティ障害傾向には易怒性, 外責的認知, 怒持続性の反応的攻撃性の特性が, 自己愛性パーソナリティ障害傾向には,他者支配欲求, 攻撃有能感, 欲求固執の能動的攻撃性の特性力欄連することが明らかにされた.対人恐怖心性には, 易怒性, 怒持続性, 外責的認知, 他者支配欲求が正の関連を示す一方で,攻撃有能感と欲求固執が負の関連を示すことが明らかにされた. 以上により能動的・反応的攻撃性の構成概念の妥当性が支持されたといえよう.
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