2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530504
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Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
岸本 寛史 富山大学, 保健管理センター, 助教授 (90397167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 清二 富山大学, 保健管理センター, センター長・教授 (70126522)
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Keywords | バウムテスト / カール・コッホ / 心理検査 / 診断 / 事例研究 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に仕上げたコッホの原著『バウムテスト第三版』の翻訳資料をもとに、京都、東京、天理などで研究会を重ねた。 今年度は、まず、コッホの事例解釈について、ドイツ語初版・第三版、英語版、邦訳版を比較対照しながら英語版と邦訳版の問題点を明らかにすると同時に、コッホの事例解釈の基本姿勢を検討した。そこで明らかになったのは、優れた描写はそのまま優れた解釈につながるという姿勢をベースにおいて、バウムのイメージを持ち続ける中で絵を丁寧に言葉にしていくという作業を重ねることを重視していること、また、その際に、多数例を対象とする発達研究の統計的な所見も参考にしているが、これらの所見を臨床例に外挿する際には、発達的観点、精神分析的観点(神経症的退行))、分析心理学的観点(創造的退行)といった幅広い観点からの検討を強調していることであった。また、わが国にバウムテストが導入された当初の文献や邦訳版を俯瞰すると、これら三つの視点のうちの発達的観点が強調され、種々の指標が強調される傾向があることが明らかとなった。 また、臨床事例の検討も始めたが、コッホの姿勢を基本に置くと、心理アセスメントと治療的関与の壁が薄くなり、アセスメントそのものに治療的な効果を期待できるのではないかという感触も得ているので、この点は今後さらに検討を重ねていきたい。 なお、これらの成果の一部は日本心理臨床学会(岸本寛史(2006)"Der Baumtest"(K.Koch)においてKochがめざしたもの.第25回日本心理臨床学会.2006.9.17.)、日本臨床心理身体運動学会(岸本寛史(2006)バウムテスト.第9回日本史臨床心理身体運動学会.2006.12.3.)において発表した。
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