2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530508
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
森岡 正芳 奈良女子大学, 文学部, 教授 (60166387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 智子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (00335019)
本山 方子 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (30335468)
水間 玲子 奈良女子大学, 文学部, 助手 (80343268)
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Keywords | ナラティヴ / 心理療法 / フィールド研究 / 対話 |
Research Abstract |
平成17年度の本研究は以下のような経過で行った。 1 物語知の臨床実践領域での理論的基礎づけについて。主に心理臨床や保健医療福祉の領域で、多様に用いられてきたナラティヴ概念の整理を試みた。個人の生の文脈のなかで出来事が意味づけられ、物語性が構築されることを重視する立場と、治療的会話の微細部分に発話主体の意味行為をとらえ事実内容を語り直す行為に注目する立場がともにナラティヴ概念を用いており、臨床の対象像を構成するプロセスでこれら二つの次元が交錯し、選択されていることが明確になった。これについては日本保健医療行動科学会第21回大会(大阪産業大学)にて発表の予定である。 2 研究領域においてナラティヴアプローチのもつ特性を整理し、実践場面において個人の生を記述するにあたってナラティヴの視点の有効性を探った。臨床事例研究に固有と考えられる記述視点がナラティヴアプローチによってより明確となった。これについては第2回質的心理学会大会(東京大学)企画シンポジウムにて発表を行った。また『臨床心理学』誌にて「心理療法とナラティヴ」という連載を企画し発表を継続している。 3 対話や小集団の談話プロセスに生起する小さなストーリーの分析を行った。語られた過去の出来事と現在語っているという行為が相互に影響を及ぼし合うことが把握できた。まだ自己語りにおいて必要とされる個人の自己の枠組みの変動性と内容の問題について検討を行い、第12回ヨーロッパ発達心理学会(スペイン・ラグーナ大学)にて成果を発表した。さらに、第23回日本心理臨床学会(京都)異なるアプローチの対話「トラウマとナラティヴ」というワークショップセッションにて分析の一部を発表した。またThe Fourth International Conference on the Dialogical Self(Braga, Portgal)にてシンポジウムを企画し、発表の予定である。
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