2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530511
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中原 睦美 鹿児島大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (80336990)
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Keywords | 臨床心理学 / ロールシャッハ法 / 虐待 / 質的研究 |
Research Abstract |
社会的に児童虐待の問題が取り上げられるようになって久しい。その対処やケア、研究は、医学・心理学・福祉など幅広い領域で、日々重ねられてきている。これらの研究や実践においては、現在、虐待を受けている児童やその保護者に対するものが一般的である。心理相談室や精神科クリニックに来談した虐待既往が疑われる人についてロールシャッハ法を施行した際、人格障害、とくに境界例人格障害事例と相違する面があることを経験してきている。虐待の既往は、心理面接を重ねる中でようやく現れて来ることが多いが、ロールシャッハ法を通して虐待の既往を初期に察知できると、その後の心理的援助に有用であると考えられる。 本研究では、いわゆる虐待サバイバーと呼ばれる虐待の既往があった成人を対象に、虐待既往がロールシャッハ法のスコア上においてどのように現れるのかを分析・検討する。事例の収集は、臨床心理士養成指定校である大学の外来向け心理相談室に来談した成人事例を対象に行い、虐待の既往があった事例となかった境界例水準などの事例とのロールシャッハ・プロトコルの検討を行い、ロールシャッハ法に現れる相違点を質的研究により明らかにする。そして、得られた知見を元に、最終的には、日本ロールシャッハ学会等での研究発表を行う予定である。 平成17年度は、当該研究に関する資料(児童虐待、虐待既往に関する先行研究、およびロールシャッハ法における先行研究)の収集を丁寧に行った。このことにより虐待既往をロールシャッハ法スコアから検討する新たな観点を見出す作業が必要であることが得られた。本研究は、研究者自らが臨床心理士として関わった事例の中から虐待既往群を抽出するため、意図的な対象収集は困難である。そのため、鹿児島大学心理臨床センターでの心理臨床活動を継続しながら、過去に勤務した大学付属の心理臨床相談室等と連携をとり、ロー・データを収集し、現在、分析中である。 今年度は追加採択であったことから、基礎的な備品・消耗品購入や情報収集に予算執行をあてた。文献では虐待関係の中心に購入し、研究上有用な知見を得ることができた。またデータ保管・情報処理のためパソコン購入を予定していたが、データにコラージュ作品やバウムを含む事例があったためそのデータ保管のため、優先順位としてカラースキャナーを購入を優先し、データ処理を行った。また、資料収集や研究情報収集のため、日本ロールシャッハ学会および名古屋ロールシャッハ研究会に参加し知見を得た。今年度は、直接的に結果を形にするというより、主に研究デザイン作成に労力を割いた。次年度以降は、今年度収集した事例を質的研究の観点からまとめて投稿し、さらに新たなフィールドを開拓し、ロールシャッハ法実施や面接を行うなど、データ収集を積極的に取り組む予定である。
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