2006 Fiscal Year Annual Research Report
動作法を応用した高齢者の回想法(懐しさ出会い療法)の開発研究
Project/Area Number |
17530514
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
今野 義孝 文教大学, 人間科学部, 教授 (70092517)
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Keywords | 動作法 / 回想法 / 快適な体験 / 懐かしさ出会い療法 |
Research Abstract |
「懐かしさ」の体験は、身体の内側から広がる温かさの感覚やリラックスの感覚、ゆったりとしたくつろぎの感覚、トランス状態などのもとで、自然にこみ上げてくるものであり、無批判的な態度でその体験に浸っていたくなるような特徴をもっているものと考えられる。このことから、「懐かしさ」の体験を促進するには、リラクセーションや催眠、動作法の快適な心身の体験などが有効であると考えられる。とりわけ、動作法の援助方法の1つとして、今野(1997)によって開発された「とけあう体験の援助」は、リラクセーションや姿勢のコントロールを通して心身の快適な体験や心身の安定をもたらし、自分自身や他者および外界に対してポジティブな感情体験や認知の変化をもたらすことが報告されている。また、自分の内部に潜んでいる様々な自分に対する気づきと再統合、過去体験の中に潜んでいる様々な自分との間の温かいつながりの再発見、自分自身の身体に「内蔵された」体験との出会い、今を生きる新たな生命感の発見、などが示唆されている。 懐かしさの体験をすることによって、今の自分を肯定的にとらえ直したり、未来に向かって肯定的なセルフイメージを作り出すことができるようになるものと思われる。このように、懐かしさの体験にアクセスすることは、過去の出来事や経験に対する肯定的な意味づけを促進し、「いま・ここでの自分」の肯定的な認知や心身の健康の回復につながるものと期待される。そこで本研究では、従来の回想法に動作法を導入した新しい高齢者のための回想法として、「懐かしさ出会い療法」を開発することを目的と。本研究の成果は、日本カウンセリング学会第39回大会と日本健康心理学会第19回大会で発表した。また、Japanese Psychological Researchに投稿した。
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