2006 Fiscal Year Annual Research Report
ハイリスク乳児の臨床心理査定による学齢期までの追跡と軽度発達障害の早期発見の検討
Project/Area Number |
17530520
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
武藤 久枝 (松尾 久枝) 中部大学, 人文学部, 教授 (20290158)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二村 真秀 愛知医科大学, 生殖・周産期母子医療センター, 教授 (50125077)
|
Keywords | 臨床心理査定 / 母子面接過程 / 追跡研究 / ハイリスク児 / 軽度発達障害 / 発達支援 |
Research Abstract |
平成18年度は2つの目的のもとに研究を行った。 第1の目的は、ハイリスク乳児の学齢期の認知機能の解明である。この目的に沿って、集積資料の解析と追跡資料の収集の継続を行った。解析の結果、幼児期の認知機能は順調でも、言語機能の推論が遅れる場合が明らかとなった。動作性知能の遅れには視覚情報の推論等が影響している可能性が示唆された。幼児期の知能構造を分析した結果、6歳では動作性知能の未分化が示唆された。また、精神発達が順調であれば6歳になると周産期のリスクはほとんど影響しないことが明らかとなった。以上、先行研究と一致した知見もいくつか得られた。ハイリスクの場合、幼児期では動作性知能と言語性知能とを統合させる発達支援が必要と考えられる。 第2の目的は、軽度発達障害の早期発見のための健診項目と母子面接の方法の検討である。とくに低年齢のハイリスク児の場合、子どもに負担をかけない形の心理検査を短時間で実施しながら母子面接を行うことが重要である。認知機能を測定する知能検査、発達検査と情緒的機能を測定する複数の神経心理検査を組み合わせて、精神発達のどの部分を測定しているかを検討した。学齢期以降の縦断的変化を追跡することが重要である。また、子どもの発達支援と並行して母親の育児支援が重要となる。母子面接から得た、母子の関係性、象徴機能の形成、言語段階、社会性、臨床心理査定結果などから軽度発達障害児の乳児期の行動特性と早期発見に有用な知見を検討中である。
|