2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530523
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
河合 千恵子 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究員 (00142646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 正宏 聖心女子大学, 文学部, 教授 (50162384)
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Keywords | 配偶者の死 / 悲嘆 / 回復過程 / 縦断研究 / サポート |
Research Abstract |
高齢期に多くの人々が遭遇する配偶者の死は、辛い体験であり、体験者の心身の健康に多大な影響を及ぼすおそれがあることが知られている。死別体験者が死別の悲嘆をいつどのように克服しているのかについて明らかにするためには長期にわたる縦断研究を行う必要がある。これまで、配偶者と死別した男女を対象に2000年と2002年の2回にわたり縦断調査を実施してきたが、今回は3回目の追跡調査を実施し、悲嘆が終決した対象者がさらに増加しているのか、或いは心理的、身体的影響が残留しているのかについて検討した。2000年に初回の面接調査を実施した276名から死亡者や住所不明者等を除いた256名を対象に面接調査を実施し、135名の対象者(男性55人、女性80人)から調査協力を得ることができた。2002年の第2回調査では9名であった死亡者が今回は55名に増加し、ほぼ2割の対象者がこの5年間にすでに死亡していた。 死別の悲しみから既に立ち直ったかどうかを対象者に尋ねた回答では、「すっかり立ち直った」と回答した者は初回調査では全対象者の25.4%、第2回追跡調査では44.0%であったのに対して、今回は62.9%と、立ち直ったとする者の割合が増加し、意識の面では死別からの経過期間の要因が大きく影響していることが考えられた。 配偶者と死別後の心理的適応について、有配偶者をコントロール群として比較するため、2000年に調査を実施した1,893人のパネルに追跡調査を実施した。今回は1,169名に協力が得られ、そのうち配偶者と同居していた715名をコントロール群として比較に用いた。死別群は5年間に精神的健康度について得点の変化が認められず、また有配偶群より、精神的健康度が一貫して悪かった。有配偶群は2005年に精神的健康度にかなりの低下がみられたが、それでもなお死別群より得点は良好であった。死別体験者は5年を経て意識面では顕著な回復を示したが、精神的健康面では限界があることがうかがわれた。
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