2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530523
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Foundation for Research on Aging and Promotion of Human Welfare |
Principal Investigator |
河合 千恵子 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 主任研究員 (00142646)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 正宏 聖心女子大学, 文学部, 教授 (50162384)
|
Keywords | 配偶者の死 / 悲嘆 / 回復過程 / 縦断研究 / 質的検討 / 男性 |
Research Abstract |
今年度は、研究初年度に実施した死別群調査の対象者に対して、半構造的なインタビューを行った。研究初年度の面接調査で、現在の生活に困難を感じている傾向が強く伺われる男性に着目し、死別から現在までの適応過程について男性のみにインタビューを行い、質的な検討を行った。インタビューには、過去の結婚生活、死別の状況、現在の心境、立ち直りの過程、今後の生き方等に関するインタビューガイドを作成し、調査に協力の得られた21名の男性にインタビューを行った。インタビューは、許可を得てICレコーダーに録音し、音声データはテキストに変換して記録した。 遺された夫の現在の心境として、亡くなった妻への感謝や好意、妻との関係を高く評価している人が多く、死を惜しむ気持ちや後悔の感情を述べる人も多かった。また、妻はもう帰ってこないというあきらめや現実の受容を述べる人も少なからずいた。 とくに心残りに思うことについては、夫婦での旅行などやれなかったことについての後悔、自分が妻にがした身勝手で思いやりのない行動についての後悔を述べる人が多かった。また、生きていて欲しかったことを心残りとしてあげる人もいた。しかし、心残りに思うことがないと述べる人や、妻は満足だったと思うと述べる人もいた。 立ち直りについては、多くが自分が立ち直ったと考えていたが、自分が立ち直れていないとはっきり自覚している人もいた。また、死別によって落ち込むことがなかったため、立ち直るということもなかったとする人もいた。なお、立ち直りがあきらめや現実の受容であると考える人が多かったが、それは死別後の生活の確立であると考える人もいた。立ち直りに役立ったことについては、強い精神を強調する人もいたが、泣くことの意味を述べる人もいた。 配偶者を亡くした男性の、現在の心境は多様であり、立ち直りの過程も単一ではないと言える。
|
-
[Book] 悲しみを支える本2007
Author(s)
河合千恵子, 佐々木正宏
Total Pages
243
Publisher
学習研究社
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より