2006 Fiscal Year Annual Research Report
瞳孔反応を他覚的指標として利用した両眼間相互作用の実験的研究
Project/Area Number |
17530525
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木村 英司 千葉大学, 文学部, 助教授 (80214865)
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Keywords | 瞳孔 / 両眼視 / 視野闘争 |
Research Abstract |
本研究の目的は、瞳孔反応を他覚的指標として両眼間相互作用を検討するとともに、心理物理学実験も並行して行い、両眼間での情報統合の基礎メカニズムを明らかにすることであった。研究成果は以下のようにまとめることができる。 (1)心理物理学実験の成果:視野闘争(左右眼の対応網膜部位に異なった刺激が提示された時に生じる知覚的葛藤現象)を生じさせるような検査刺激に先行して特定の刺激を提示することにより、闘争刺激の見えを変調させることができる現象(見えの変調現象)を用いて研究を進めた。研究の結果、次のような知見が得られた。(a)色刺激と輝度刺激を用いた研究によれば、先行刺激による変調効果には、刺激の提示眼に基づく場合と、刺激属性に基づく場合とがあり、それらは刺激の時間条件に応じて切り替わった。(b)縞刺激を用いると、刺激属性に基づく変調効果は幅広い時間条件下で観察されるものの、刺激提示眼に基づく変調効果は全く見られなかった。以上の結果は、色刺激と縞刺激では、視野闘争時の優勢/抑制の決定様式が異なり、したがって、両眼間での情報統合の際の処理様式も異なることを示唆している。 (2)瞳孔計測実験の成果:永続的抑制(高コントラストの縞刺激が一方の眼に提示されている間、他方の眼に提示された空間的に一様な刺激の見えが抑制される現象)を利用して、異眼間抑制事態における瞳孔反応を検討した。抑制条件下での瞳孔反応を、検査刺激のみが提示される統制条件での反応と比較したところ、輝度変化と色度変化に対する反応の両方が抑制条件において弱まった。さらに、輝度変化に対する反応は色度変化に対する反応よりも潜時が短く、皮質下経路により媒介されていると考えられた。以上の結果は、永続的抑制による異眼間抑制が、輝度変化と色度変化に対しては非選択的に生じること、そして、抑制効果が皮質下にも及ぶことを示唆している。
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Research Products
(6 results)