Research Abstract |
両眼捕捉現象に関する実験研究 単眼刺激の視方向に関する実験を行った.刺激はステレオグラムであり,それぞれの半視野は,ランダムドットパターンから構成される上下2つの矩形と,一方の視野のみに提示される垂直線分(単眼刺激)から構成されている.被験者は,刺激を両眼融合したとき,(1)垂線,矩形の奥行きを報告し,(2)下の線分を水平方向に動かし,上下の線分が一直線になるように調整した.その結果,上下の矩形(両眼刺激)間と同様に,上下の垂線(単眼刺激)間にも奥行きが見えた.また,単眼の視方向も両眼刺激のように変化した.単眼刺激があたかも両眼刺激のように振舞った(両眼捕捉現象).本年度の実験結果によれば,両眼捕捉には両眼刺激の特性(両眼刺激の密度,両眼刺激の幅)が重要な要因であり,単眼刺激の特性(幅)は影響がなかった.この結果はVision Research(2005)に掲載された. 奥行き起因運動に関する実験研究 両眼捕捉現象が生じるような刺激を融合を保ちながら,側方に頭部を動かすと単眼刺激が動いて見えることが報告されている(Shimono, et al.,2004).この単眼刺激の運動が奥行き起因運動現象である.この現象は,刺激と両眼が作り出す幾何学で説明可能である.本年度はこの説明の妥当性を検討するために,両眼網膜像差の大きさ及び観察距離を変数にして実験を行った.被験者の主要な課題は,単眼刺激の運動量と見かけの奥行きを報告することであった.その結果,単眼刺激の運動量と奥行き量はほぼ幾何学と一致しており,両者には高い相関があった.これらの結果は,現象的幾何学(Gogel,1990)および,頭部中心視方向(Onoら,2002)という概念で説明できる.このような観点にたって,現在論文を執筆中である.
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