2006 Fiscal Year Annual Research Report
両眼立体視空間における単眼刺激の定位について-両眼捕捉と奥行き起因運動
Project/Area Number |
17530526
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
下野 孝一 東京海洋大学, 海洋工学部, 教授 (70202116)
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Keywords | 単眼刺激 / 視方向 / 頭部運動 / 現象的幾何学 |
Research Abstract |
奥行き起因運動に関する実験研究 両眼捕捉現象(Shimono, et al., 2005)が生じるような立体視刺激の融合を保ちながら側方に頭部を動かすと,その立体視刺激上の単眼刺激は動いて見える(Shimono, et al., 2004).この単眼刺激の見かけの運動は奥行き起因運動現象と呼ばれる.この現象は,融合した立体視刺激と両眼が作り出す幾何学と"両眼性補足"の概念で説明可能できる.本年度はこの説明の妥当性を検討するために,両眼網膜像差の大きさ及び刺激特性(ランダムドットステレオグラムと線ステレオグラム)を変数にして実験を行った.被験者の主要な課題は,単眼刺激の運動量と見かけの奥行きを報告することであった.その結果,単眼刺激の運動量と奥行き量はほぼ幾何学と一致しており,両者には高い相関があった.また,ランダムドットステレオグラムに比較して線ステレオグラムでは奥行きも運動も少なく報告された.これらの結果は,現象的幾何学(Gogel, 1990)および,頭部中心視方向(Onoら,2002)という概念と一致する.この実験結果および議論はVision Research (Shimono, Tam, & Ono, 2007)誌に発表した. 歴史的研究 本年度は両眼視空間における単眼刺激の空間定位に関するレビューも同時に行っている.まだ完了はしていないが,特に網膜像差手がかりによって生み出される空間(両眼立体視空間)の中での単眼刺激の方向定位と奥行き定位を決定するルールを"炙り出す"ことを目的としている.本年度の成果は,両眼立体視空間に関する論文のレビューの中で,網膜像差の検出が不調である観察者(ステレオアノマリー)の歴史的研究を行ったことである.この成果は,光学(下野)誌上に発表予定である.
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Research Products
(3 results)