2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530529
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
津崎 実 Kyoto City University of Arts, 音楽学部, 准教授 (60155356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入野 俊夫 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20346331)
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Keywords | 寸法変調 / 音声知覚 / 聴覚モデル / 母音正規化 / 聴覚情景分析 / 時間追随性 / 聴覚情報処理 |
Research Abstract |
本研究の総合的目標は,音のスペクトルに対する変化のうち音源の寸法の変化に起因する成分の知覚的分離過程の解明を目指すことにある.その解明の焦点は寸法情報の分離・抽出過程の時間追随性の限界を測ることであった。この研究目的のためにー連の音声信号に対して,その音声の発話速度とは独立の正弦関数に従った寸法変調を施し,その変調の知覚的な検出閾を変調周波数を独立変数として測定した。その結果,閾値は変調周波数が高くなるほど下降するというハイ・パス・フィルタ的な特性を示した。目的とした時間追随性の限界を推定する場合,この特性は基本的にロー・パス・フィルタ的なものとなるべきである。このような逆説的な結果を得た原因として,寸法変調によって刺激のスペクトル上に変調がない場合には存在しないサイド・バンドへのパワー分布が生じ,これが変調の有無の検出をする上で効率の良い手掛かりとして機能していることが推察された。但し,この場合加えられた変調が聴取者にとって寸法の変化として知覚されている可能性はむしろ低く,無変調の場合との区別ができるという域を出ないことが内観報告から推察された。これらの結果については音響学会英文誌の速報として出版されると同時に,ケンブリッジ大学で開催された寸法知覚に関するワークショップにて発表した。また,この変調検出とは別に,寸法の変化によって生じる音脈分凝現象についても追加実験を実施した。その結果,寸法を手掛かりとした分凝はピッチを手掛かりとした分凝と同様または場合によってはより頑健に生じる可能性があることが分かった。さらに分凝の起こりやすさは同等の変調度合の組み合わせをした場合には,寸法が大きくなると同時にピッチが下降するという方向への組み合わせの方が寸法が大きくなると同時にピッチが上昇するという方向よりも分凝を促進するように働くことを見出した。
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Research Products
(6 results)