2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530531
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
櫻井 研三 東北学院大学, 教養学部, 教授 (40183818)
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Keywords | 実験系心理学 / クロスモーダル / 視覚 / 前庭感覚 |
Research Abstract |
本研究課題は今年度後半に入ってから追加採択されたものであり、実質的活動は予算が執行可能となった11月以降から開始されたため、残念ながら論文等の研究成果を生み出すに至っていない。 最初に行なったのは、研究実施計画に従って、なめらかな拡大・縮小運動をするRDPの画像を作成するため必要となる視覚刺激作成装置を、設備備品費で購入したことである。今回購入した装置はこれまで使用していた型とは異なるプログラミング環境で稼働するため、新たに実験用の設定を行なう必要が生じた。そこで、当該のプログラミング言語に詳しい者に設定を依頼し、1月と2月に、数日にわたって新規のプログラミング作業を行ってもらった。 この装置導入作業と平行して、研究実施計画の第2点である、身体の運動に随伴した色彩残効の探索的な実験を行なった。縞パタンの方向に随伴する色彩残効はマッカロー効果として知られており、螺旋模様の拡大・縮小運動に随伴する色彩残効もその生起が確認されている。しかし、クロスモーダルな色彩残効の存在は確認されていない。そこで、被験者の身体を前後方向に運動させると同時に前進時に赤、後退時に緑という異なる色を視覚的に継続提示し、身体運動に随伴して色彩残効が生起するかどうかを、被験者に言語報告してもらった。予備実験を6名の被験者に対して行なったところ、被験者は色彩残効よりも、むしろ運動残効の生起を報告した。残効を報告した被験者は4名であり、内3名が陽性残効、1名が陰性残効であった。また、静止した状態で赤あるいは緑の画面を見ると、画面が縮んで見えるという報告が2名から得られた。これも運動残効と考えられる。実験後のインタビューから、運動残効を報告した被験者は乗り物酔いをしやすい傾向があると判明し、酔いのメカニズムとクロスモーダルな運動残効の関係があることが示唆された。 これらの成果は、次年度の学会で発表する予定である。
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