2008 Fiscal Year Annual Research Report
反復性睡眠潜時テストとP300からみた高照度光による眠気の改善法
Project/Area Number |
17530534
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
高橋 敏治 Hosei University, 文学部, 教授 (10171505)
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Keywords | P300 / 反復性睡眠潜時テストMSLT / 高照度光 / 眠気 / 選択的注意機能 / オドボール課題 / 気分 / 視覚的アナログスケール |
Research Abstract |
平成20年度は合計10名の男女大学生(男性6名、女性4名、平均年齢21.11歳)に実験を実施した。実験の概要・予想される問題点については、書面による説明と同意を得た後で参加してもらった。 実験日は自宅と実験室の間は太陽光をゴーグルで遮光し、高照度条件では被験者は、9時から18時まで間欠的に3,000ルクスの高照度光を浴び、その間2時間おきにMSLT(反復性睡眠潛時検査)、VAS(眠気・覚醒度・疲労度)、P300測定を40分間実施した。P300のオドボール課題は、4種類の500Hz、800Hz、1KHz、2KHzのトーンバースト音を用い、2KHzを標的課題とし、それぞれ40回合計160回ランダム化して施行した。高照度光に対応して200ルクス以下の室内光で実験を実施した。2つの実験はカウンターバランスにより順序効果を相殺し、2週間以上の期間をおいて実施した。P300については、潜時は高照度条件で有意に短縮し、振幅については有意に振幅が増加した(F=33.58, p<.001; F=6.47, p<.05)。SSS(Stanford sleepiness scale)による主観的眠気は高照度条件下で有意に低下した(F=6.70, p<.05)が、MSLTによる客観的眠気は高照度条件で有意に減少し(F=21.19, p<.005)、オドボールによる課題の反応時間は高照度光条件で有意に短縮した(F=3.18, p<.01)。これらの結果は、9時から18時に間欠的な高照度光照射が眠気の低下(MSLTスコア上昇)、脳内の注意認知過程の亢進(P300潜時短縮)を生じ、精神作業遂行能力を向上させることを示していた。今回の実験では高照度光は、実験開始直前から照射しておりその効果はリズムの位相を変える作用よりは、覚醒機能の亢進による作用と考えられた。これらの結果から、精神作業時に3,000ルクス以上の高照度光を間欠的に照射すると、昼間の生理的な眠気を減らし、作業時の選択的注意力を向上する効果が期待できる。
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Research Products
(6 results)