Research Abstract |
・主として海外調査を中心に研究を行った。海外調査は,中国,シンガポール及び香港の実態調査を行った。 ・中国では,従来の統一入試による選抜のほか,筆記試験とともに受験者の多様な資質を様々な方法,選抜基準を用いて選抜する試みを行っており,推薦入学に加えて我が国のAO入試に類似する「独自事前選抜」が2003年から開始され,年々広がっている。2006年は53大学で実施した。上海市の復旦大学及び上海交通大学は,その独自事前選抜においても,2006年から面接試験中心の選抜方式を導入,注目を浴びた。実地調査では両大学を訪問し,具体的な方法を事情聴取した。いずれも,一般教養,時事問題,専門分野の広い範囲にわたって受験生の資質を問う試験が行われている。ただし,主観的な判定に対し,社会だけでなく,政府教育部からも公平性の問題が提起されている。 ・シンガポールでは,イギリスの制度に倣って大学入学資格試験(Aレベル試験)が行われ,受験者の判定に際し,その成績が大きな資料となっているが,国内3大学ではいずれもアドミッションオフィスが設けられ,面接や活動記録など多様な資料を用いて多面的な選抜判定が行われている。 ・一方,香港でも,イギリスに倣っての統一入試(Aレベル試験)が行われている。一部専攻で面接を行っているものの,総じて試験成績によって志願者をランク付けしている。合格者決定には8大学連合の選抜方式が導入され,大学による志願者ランク付けのリストと志望順位に従ってコンピュータが合格者を大学・専攻に割り振っていく方法が実施されている。受験生本位の制度と説明されている。 ・前年度の中国,韓国,台湾調査とあわせ,相互の比較によって我が国の課題を探り,最終報告書につなげたい。
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