Research Abstract |
・韓国及び中国における大学入試改革の調査を実施した。また,過去3年間の調査研究の成果を「研究成果報告書」にまとめた。 ・韓国においては,前回調査の補足として,1)受験機会の複数化,2)募集単位の大くくり化,3)公平性の問題を中心に,教育人的資源部及び高麗大学を訪問調査した。受験機会は一般選抜でも3回有り,どこに合格しても希望の大学に入学できるが,そのために定員補充に苦労している。 ・中国においては,3大学(北京大学,北京科学技術大学,大連理工大学)及び2高校(北京101中学,大連育明中学)を訪問調査した。大学については,入試多様化の主たる選抜方式である「独自事前選抜」及び推薦入学の実態を調査した。公平性に配慮し,選抜基準,点数配分の情報公開に努めている。高校では,進路指導体制や高大連携の実態を調査した。入試多様化が一部の大学・定員に限られるため,筆記試験対策がいぜん主流であり,我が国のような進路指導組織はない。高大連携については,大学開放や高校訪問,大学説明会などが広がりつつあるが,訪問授業などは少ない。 ・研究成果報告書においては,過去3年間に実地調査をした中国,韓国,台湾及びシンガポール,香港について,国・地域別に大学入試改革の背景経緯,入試の概要,多様化に焦点を当てた入試改革の具体的内容とその成果,問題点の分析を行った。さらに,とくに入試多様化を精力的に進める中国,韓国,台湾について,その共通点と相違点を比較分析し,我が国との比較を踏まえ,我が国入試改革にとっての新たな視点をいくつか提示した。結論としては,我が国及びこれらの国・地域では同じような動機・目標を持って入試の多様化を進めているが,多様化の度合いにおいては我が国は進んでいるとみられるものの,学力の担保,公平性確保のための情報公開になお課題をもつことを指摘した。
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