2006 Fiscal Year Annual Research Report
フランスの公教育における非宗教性原則の理念と実態に関する研究
Project/Area Number |
17530554
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
藤井 穂高 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (50238531)
|
Keywords | 公教育 / フランス / 政教分離 / 非宗教性 / 学校教育 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度と同様に、下記の2つを柱とする分析枠組みで研究を進めた。 1非宗教性原則適用法の立法者意思の分析 そのために、次の4点に分けてその立法者意思を検討する。 ・本法の意義の根拠となるべき非宗教性の理念。 ・学校の直面する今日的困難。 ・「共和国の学校」としての公立学校の使命。 ・具体的改革の方策。 この点については、フランス共和国官報に掲載されている同法の審議過程から、関連報告書及び議事録の分析を継続した。特に今年度は、公立学校におけるスカーフ着用の禁止の立法者意思が、スカーフを着用する女子生徒による着用していない生徒への良心の侵害に対する防御にあること、つまり、生徒による生徒に対する良心の自由の侵害という問題がスカーフ禁止法の根幹にあることを明らかにした。 2非宗教性原則の具体的構成と運用実態の解明 まず、非宗教性原則の具体的構成については、(1)記号及び服装に関する禁止の基準と対象、(2)記号・服装以外への非宗教性原則の適用、(3)懲戒の手続き、(4)懲戒における対話の位置づけ、の4つの観点から分析を行う。 そのために、今年度は、国民教育省中央視学官による同法適用の結果に関する報告書(Chrifi H.2005,Application de la loi du 15 mars 2004 sur la port des signes religieux ostensibles dans les etablissements d'enseignement publics, Ministere de l'education nationale de l'enseignement superieur et de la recherche.)の分析を行った。同報告書によると、公立学校内での宗教的標章の着用による退学者は、法律施行後の1年間で44件にとどまり、事前の予想は覆されたと評価している。 本研究の一端はフランス教育学会紀要第18号に掲載されている。
|
Research Products
(1 results)